第2章 一目惚れ (竈門炭治郎)
『・・・っ!』
石に躓いて転んでしまった。
派手に転んでしまい膝から血が流れ、手の平にも傷が出来ている。まだ幼かった私は痛みを堪えられず声を出しながら泣いてしまった。
『うわぁぁあん・・・っ!!』
ぐずぐずと鼻を啜りながら涙を流していると誰かが私の元にやって来て声を掛けてくれた。
「大丈夫かい!?」
『うぅ・・・』
涙で視界が歪む。私に声を掛けてくれたのは緑と黒の市松模様の羽織り、左額に大きく目立つ赤い痣を持つ男性だった。背中には木の箱を背負っている。
「今、手当てをするから」
男性は着物の袖から筒に入った水を傷口にかけ、手早く包帯で傷口を巻いてくれた。
『・・・っ!』
「痛かった?」
『大丈夫・・・ですっ』
本当は痛いけど人前で涙を見せるのが恥ずかしいと思っていた私は唇を噛み締めながら痛みを堪えていると男性は微笑みながら頭を撫でてくれた。
「痛かったろう・・・頑張ったな」
『~~~っ!』
太陽のような優しい瞳で私を見る彼の姿にドキンッと胸が鳴り、思わずまた泣いてしまった。
『うわぁぁん!』
安心感から涙を堪えられず、男性に抱き付くと嫌がらず優しく私を抱き締めてあやすように頭を撫でてくれる。道端で泣いている私を気にかけて治療までしてくれた。
「・・・大丈夫だよ」
『~~~っ!』
私はしばらく男性に抱きついて泣き喚いていた。思いっきり泣いてすっきりし、落ち着いて来た頃に頭を下げ、お礼の言葉を述べる。
『助けて下さり有難う・・・ございました』
「どういたしまして」
優しく微笑む彼の笑みに私は頬を赤らめる。
『~~~っ!私はと申します』
「・・・素敵な名前だね。俺は竈門炭治郎」
『竈門炭治郎・・・様』
「様なんていらないよ」
『いえ!助けて頂きました!一生の御恩です』
是非家に来て下さい!助けて頂いたお礼がしたいです!と言うと彼は「う~ん・・・」と悩んだ後に「そんなつもりで助けたんじゃ無いんだけどなぁ」と困ったように呟くと彼が背負っていた箱がガタンッ!と音を立てて揺れた。
「うわ!こら禰豆子」
『・・・禰豆子?』
まさかあの小さな箱に誰かが入っているというのだろうか。だとしたら私より(12歳)も小さいーーー赤子ということになるが。
『炭治郎様!まさかまだお若いのにそのお年でお子が!?』
「違うよ!?」