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ふたりだけのせかい

第3章 其の参












自分の今までの考えを 気持ちを 真っ向から否定されてしまったと、そう思った。

そんな考えがなかった訳ではなかった。
でもずっと知らぬふりをして 見て見ぬふりをして 必死に此処まできた。
そんな気持ちと向き合えば、辛くなるから。苦しくなるから。


 

木の幹へ軽く添えていただけだった手に、無意識に力が入る。







『ーーー術式展開 破壊殺・羅針』







何やら武術の様な構えを取る猗窩座を中心とし、地面に雪の結晶の様な模様が浮かび上がる。
そしてその周りがギラギラと白や青白磁の色の光を放っている様にも見えた。







「鬼にならないなら殺す」







その言葉と共に、長く続いた膠着状態が一変する。

先に動いたのは猗窩座であった。
向き合っていた煉獄杏寿郎の元へと飛びかかっていく。






『ーーー壱の型 不知火』






だが 煉獄杏寿郎も又、その動きに直様反応を見せる。
目にも追えぬ程の 異次元の速さだった。





ーーードオン!!!!!






ぶつかり合ったのだろう、凄まじい音と共に二人の姿が見えなくなる程の砂埃が空を舞う。
その中には 真っ赤に燃え上がる炎と、雪が太陽に反射する様な真っ白な光が混じり合って見えた。



雪と交われば、炎は消え
炎と交われば、雪は溶ける。

相見える事はない。





「今まで殺してきた柱たちに、炎はいなかったな。
そして俺の誘いに頷く者もいなかった。
なぜだろうな?
同じく武の道を極める者として理解しかねる。
選ばれた者しか鬼にはなれないというのに…

素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えてゆく。
俺はつらい。耐えられない。
死んでくれ、杏寿郎 若く強いまま」








『ーーー破壊殺・空式』

『ーーー肆の型 盛炎のうねり』






空中へ飛び上がり、拳を持つ斬撃波で攻撃をする猗窩座。
そして、自身を中心として渦巻く炎のような剣技で攻撃する煉獄杏寿郎。


どちらも一歩も引かない。


ガガガガと鋭い音が辺りに鳴り響く。
目が、離せない。
これが 柱と上弦の戦い…









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