第8章 傍に居て、抱き寄せて【R18】《宇髄》
「それは秘密」
「…っ」
そう言って彼の指が私の唇をなぞった。
私は何やら雰囲気がおかしくなってきた事を察知する。
吐息の掛かる距離で彼はお互いの鼻を擦り合わせた。
そこにBGMのように流れてきたテレビの音楽を聞いて、私ははっとする。
「あーっ!!」
「な、何だぁ?」
いきなり声を出した私に彼もビックリして手を引っ込めた。
「今日、見たいドラマがあるの忘れてました。」
テレビに向き直ってソファーの上に体育座りをし直す私を彼は見ている。
テレビからはドラマのオープニングの音楽が流れている。
「えぇー…それ、後で見たらいいんじゃね?」
「無理です。このドラマ今いい所なんですよ。それに録画予約してくるの忘れたの今気付きましたなのですみませんがこのドラマを見ます。」
有無を言わさない私に、彼は不満そうにしながらも仕方ねえなぁと呟いてソファーに背を預けてビールを喉に流し込んだ。
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「おーい、みさ。ベッドいくか?」
そう言われて、私は自分が寝ていた事に気づいた。
確か私の見たいドラマを見て、その後にやっていたバラエティー番組を二人で見ていた筈。
指を絡めて手を繋いで、彼の肩にもたれて寝ていたらしい私は重い目を開けた。
手を引かれてリビングを出て寝室に招かれる。
リビングと同じく黒を基調にまとめられた部屋の真ん中にあるベッドに潜り込む。
彼もベッドに入ってきて、背中から腕枕をされる形で抱き締められる。
ふかふかのベッドと背中に感じる彼の体温が心地良くて幸せだなぁと感じる。
「…宇髄さんの匂い、落ち着く…」
顔の横にある彼の骨ばった大きな手頬擦りをする。
後ろからうなじに口付けられて、熱い吐息が掛けられた。
くすぐったくて身動ぎすれば、後ろからきつく抱き締められる。
「ん―…眠い、です…」
私はこの状態が気持ちよくて、瞼が今にも閉じそうなのだ。
「いいぞ、寝てて」
だだし、寝てられればだけどな
そんな声が聞こえた気がするが、本当に眠いのだ。