第8章 傍に居て、抱き寄せて【R18】《宇髄》
彼はソファに座って、ソファの前に置かれたローテーブルにビールの缶と煉獄さんが持ってきたと言うチョコレートやクッキーを置く。
そしてお前はこことばかりにソファの空いたスペースを叩くから、私はそこに座ってテーブルに紅茶の入ったティーカップを置いた。
甘いものに目が無い私はチョコレートを一つ摘まむと口に頬張る。
「飯食ってきた後で、よく入るな」
感心する様に言われて、私は口の中のチョコを溶かして飲み込んだ後に口を開いた。
「これは別腹です。宇髄さんこそ、あれだけ飲んだのによく飲めますねぇ…」
横でビールを流し込む宇髄は、先ほどまでの飲み会で浴びるようにお酒を飲んでいた筈だが顔色一つ変わっていない。
「そういや、お前が飲んでる所を見たことねぇんだけど」
「私めっちゃ弱いんですよ…一杯でベロベロになっちゃうんで…基本的に飲みません」
「へぇ?じゃあ今度は甘いの買っといてやるからここで一緒に飲むか」
私の髪の毛を一束取ってくるくると指に絡めて遊ぶ彼は何やら機嫌が良さそうだ。
「私が甘いお酒しか飲めないの、よく知っていますね」
「富岡に聞いたんだよ」
「…えぇ!?義勇くん?宇髄さん、知りあいなんですか?」
義勇くんこと富岡義勇は同じ会社に勤務しているが、私と宇髄さんのいる部署とは全く関わりがない部署にいるし、階も違う。なのになんで彼が義勇くんを知っているのだろうか?
思わず彼の方に身体を向けて前のめりになってしまう。
「お前の幼なじみで高校までずっと一緒で会社でまた一緒になった富岡義勇くんだろ?」
「えー!宇髄さん、何で知ってるんです?」
「知ってる。お前の幼なじみって聞いてお前の事聞きまくったから」
「えぇ!?」
「入社式でみさを見てから可愛い子がいんなあって見てたんだよ。で、富岡はみさの幼なじみらしいって聞いたんだよ。それから俺と富岡はお友達なわけ」
「…えぇえ……義勇くんはなんて…?」
色々突っ込みたい所はあるが、1番聞きたいのは義勇くんが何を言ったのかだ。
私が食い入るように顔を近付けて彼の顔を見つめていると、彼は私の唇に自分の唇を合わせた。
ちゅ、と言うリップ音を鳴らして唇を放した彼は不敵に微笑む。