第4章 送られオオカミ【R18】《義勇》
「 ではみささん。彼のことは頼みますね?」
「分かりました!」
今夜は柱達の食事会だった。
美味しい料理と美味しいお酒に、酔いが回った者もも少なくなくて。
「桜田。こいつに襲われんなよ?」
酔い潰れた火柱を抱えた音柱はケラケラと笑った。
「すみません。本来ならみささんではなく男の方に送って頂きたかったのですが…」
申し訳なさそうに蟲柱が言う。
「大丈夫です。
帰りが同じ方向ですし、ここから近いですし…」
酔いつぶれた者を手分けして送り届けることにした柱達は、散り散りに解散した。
「さあ、富岡さん。帰りましょ?」
地面に座り込んでいる水柱の腕を引っ張る。
「ああ…」
気だるそうにむくりと立ち上がった彼をみさは腕を支えながら暗い夜道を歩く。
富岡の足はふらふらとおぼつかない。
「富岡さんも、お酒、結構飲まれるんですね」
意外でした。と みさは微笑む。
「いや、普段はあまり飲まないんだが、
薦められたら断れないだろ…」
ああ、そう言えば音柱に絡まれて飲まされてましたねと笑えば、そう言う 桜田は飲んだのかと聞かれ、お酒は弱いので、少しだけ飲みましたと答えた。…そんな普通の会話がこそばゆい。
みさより二つ歳上の水柱こと富岡義勇は普段は物静かな青年だった。
無表情だが時折見せる優しさに みさは密かに心惹かれていた。
この食事会で少しは話ができるかと思ったら全然話などできなくて、この状況に、 みさは少しばかり心が踊る。
吐く息は白く、手や足の先が冷たくて
みさはぶるりと身を震わせた。
かなり酔っているのだろう富岡が、たまにふらふらと体制を崩すので
彼を支える右腕だけが熱を帯びていた。