第2章 夢を見ていたい。
꒰ 凛side ꒱
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私は刀を振っていた。
目の前には、鬼。
“こんな小娘に何が出来ると言うのか。大人しくしてろ、食ってやる”
真っ赤に染った憎みの感情だ。
鬼、そして自分自身を憎んでいた。
昔から、様々なものの“色”が見えた。
人の感情は、色となって私の目に映りこんだ。
“全集中 幻の呼吸…”
苦しみから、解放されますように。
“壱ノ型 幻惑の世”
幻惑、目先を惑わすこと。
この鬼が憎んでいるものから、離れてほしい。
“…幸せ…の、時…”
鬼の頭の大半を占めているものを、“今憎んでいるもの”から“幸せだった時”に変えたのだ。
死ぬ時くらい、幸せに浸らせてあげたい。
そんな想いから、自らこの呼吸法を生み出した。
鬼も苦しむ。
私も思い出す。
痛い、苦しい、
そんな呼吸法を
使いたくなかったから。
“―――の呼吸”なんて。