第3章 嘘つき。
「…お前は僕の何なの?なぜそんなことを言うの?」
その“鬼”はすぐに冷たい瞳を私に向けた。
「あまりにも寂しそうだから、君が」
「凛、そいつは鬼だ!あんまり煽らない方が…」
炭治郎が止める声が聞こえるが、私はその鬼をぐっと見続けた。
一方伊之助は、私の鬼への同情には見慣れたのか、力ではなく口での戦いなんて興味が無いのか、刃を向けてくる隊士たちの相手をしていた。
私は、煽りに反応して攻撃してくるであろう鬼に構える。
しかし、私の煽りに対して返ってきたのは想像もつかない言葉であった。
「面白い子だね。僕の恋人になってよ」
「…は?」
「おい源八郎“コイビト”ってなんだ」
「うーんそうだな、恋愛関係で結びあってる同士ってとこかな。」
この鬼の思考回路はどうなっているのか。
何がしたいのか全く想像がつかない。
「レンアイカンケイで結びあってる同士ってなんだ。どういうことだ。」
「簡単に言うとお互いが1番大事な人って事だ。」
炭治郎は伊之助の相手をしているが、もうそろそろめんどくさいのか説明が雑になっている。
まぁ、伊之助にはそれくらいがちょうど分かりやすいだろう。
「ね?僕のこと寂しそうだと思うなら、そばに居てくれるよね?」
冷ややかな目。
何だかぐさぐさと刺されているような気分だ。
それにしても、どんな意図があってこんなことを言うのか。
そんなことを考えていると、突拍子もない言葉が飛んできた。
「ふーん。じゃあ凛のコイビトとやらは俺だろ!凛はおめえのことなんて大事に思ってねえよ!」