第2章 夢を見ていたい。
「伊之助、私お腹蹴られたんだよね」
「あいつらにか!?おいデコ太郎!なにしてやがる!」
刀に手をかけた伊之助に、呆れてため息も出ない。
「ううん、伊之助に。ちなみに善逸はこんなに蹴られたり殴られたり…」
凛は、後ろでぷるぷると震えていた善逸を前に連れて来る。
「そいつが俺の邪魔したのが悪いんだろ!」
「私、痛かったのになぁ。蹴る人とは一緒にいたくないなぁ。善逸は優しいし、強…」
抱きつこうとしてきた善逸を受け止めようとすると、
「こんな弱味噌なんかに抱きつくんじゃねえ!俺の方が優しいし強いだろ!」
凛は掴まれ、離されてしまった。
イライラしているのか、眉間にしわが寄っている。
「謝んないと仲良くしない」
「…」
「じゃ善逸、炭治郎達の所戻ろっか」
「うん!」
善逸と一緒に炭治郎の所へ向かおうとした時、背中からか細い声が聞こえた。
「…フタリトモ、ゴメンネ」
振り返ると、ぷいっと顔を背けられた。
凛は思わずふふっと笑ってしまった。
「何笑ってんだ凛!」
「いや可愛いなって思ってさ」
「俺は可愛いんじゃねえ、かっこいいんだ!山の王だからな、アハハハハ!!」
「凛ちゃんの方が100万倍可愛いよお~!」
ありがと、と善逸の頭を撫でてあげた。