第2章 夢を見ていたい。
「えへへぇ、へへ」
黄色い髪の子は、さっきからずっと凛くっついていた。
まるで、怪我なんて忘れたような感じだ。
ちょっとかっこいい、なんて思ったのは取り消しておこう。
「名前、なんていうの?」
「我妻善逸だよ、こっちは炭治郎!」
埋葬をしながら、皆に名前を聞く。
「竈門炭治郎です。君は…」
「凛だよ、それであいつは伊之助。同期なんだし敬語じゃなくていーよ!」
そう言って、凛はにこっと微笑んだ。
「凛に伊之助だな!さっきは伊之助と喧嘩みたいになっちゃって…ごめんな」
ああ、なんて礼儀の正しいいい子だろう。
善逸とも、伊之助なんかとも違って…。
凜はくすっと笑った。
「伊之助はいつもあんなんだから、逆に止めてくれて感謝だよ!多分起きたら勝負挑んで来そうだけど…」
そう言った矢先に、耳が裂けるような声が響いた。
「勝負、勝負ゥ!」
「げ、起きちゃったか…」
そう呟いた凛の後ろに、善逸が走って隠れる。
凛は、走ってきた伊之助を掴んで止めた。
「あ?凛、なにすんだ!俺はあの頭突き野郎と勝負しなきゃなんねえ!」
“勝負”とばかり言うことにため息をつきながらも、腹部のズキズキとした痛みを感じ、伊之助に言うことにした。
「伊之助…」
「なんだ?あいつらにいじめられたのか?許さねえ!」
そうだよいじめられたよおまえに!と言いたい気持ちを抑え、にこっと可愛く笑うことを心がけた。