第2章 夢を見ていたい。
時は経ち、4人の骨折は無事に癒えた。
伊之助はまだ、たまにむしゃくしゃするようで、木に、そして炭治郎にも構わず頭突きをしていた。
凛は、技と共にお菓子作りの腕も鍛え、甘いものが好きだという善逸にたくさん味見をさせた。
「久しぶりの任務だな、4人で頑張ろう!」
「あーもう!安全の中、凛ちゃんと禰豆子ちゃんと幸せな日々を過ごしてたのにー!」
「お前みてぇな弱味噌に用はねえ、俺様に任せとけ!アハハハハ!」
「善逸、共同任務だからまだ一緒に居られるよ~?」
「凛ちゃん優しい!すきぃ!」
那田蜘蛛山。
凛達4人に、そこへ向かえと緊急の指令が出された。
緊急と言うことだから、たくさんの鬼殺隊がいるに違いない。
もしかしたら、柱もいるかもしれない。
凛は少しだけ胸を弾ませた。
「では行きます、お世話になりました」
ぺこりと頭を下げると、おばあさんは切り火をしてくれた。
伊之助がまた暴れていたが、それは放っておくとしよう。
「どのような時でも誇り高く生きてくださいませ。ご武運を…」
「うん、おばあさんありがとう」
そうして、おばあさんの元を離れた。
「おい凛、あのババアが言ってた“誇り高く”とか“ご武運を”ってどういう意味だ?」
何も知らない伊之助が興味を持った様子で聞いた。
改めて言われると、説明が難しい。
「う~ん。私達は鬼殺隊だから、その立場を理解した上で任務に行けって事じゃないかな。」
「あと、俺たちの無事を祈ってくれてるんだよ」
炭治郎も一緒になって説明をしてくれた。
「立場を理解ってどういう事だ?具体的にどうしたらいいんだ?あとなんでなんでババアが俺たちの無事を祈るんだよ。」
どんどん質問を増やしていく伊之助に、何だか目が回りそうだ。
凛と炭治郎は目を合わせた。
こくっと頷き合い、そのまま加速した。