第8章 愛情にも種類がある
沖田隊長は真っ直ぐに前を見つめ黙ったままだった
やっぱり…怒ってるよね。
そりゃそうだ、喧嘩して勝手に屯所を飛び出して来たんだから。
結局…身勝手な行動をして1番みんなに迷惑かけてたのは私だ。
謝らなきゃ…。
『あのッ!…』
「お前…」
『あ、はい!』
私が言いかけた時、沖田隊長が口を開いたので慌てて彼に返事をした
「髪…」
『え?』
「何で濡れてんでィ…」
『あ、えっと…平河隊長のお墓参りに行く前に万事屋でお風呂を貸してもらったので…』
そう言って苦笑いすると沖田隊長はいきなり車のスピードを上げた
『ぎゃああああ!危なな、何してるんですか!?』
「お前…前から馬鹿だとは思ってたが、ホンモノの馬鹿だな」
『いや聞き捨てならない言葉が聞こえたんですけど!?何がっ…
ていうかスピードぉおお!!』
涙目になりながらシートベルトを握り締める私に沖田隊長は溜息をついた
「風呂なんか簡単に借りてんじゃねーや。無警戒女が」
『別にただ借りただけですよ。それに…銀さんは特別です』
何も考えてなかったわけじゃない、昔から知ってる銀さんだから安心出来たんだ
なのに、そう言った私を見る沖田隊長の表情は険しかった
『ぐえっ!!』
赤信号で急にブレーキがかかり車が止まったので鞭打ち状態になった
「…ま、その色気の無さがあるから間違いは起こらねぇだろうな」
『あの、張り倒されたいんですか』
沖田隊長を睨むと彼の表情は先程に比べどこか穏やかだった
そういえば沖田隊長…隊服だ。
もしかして、私のことずっと探してくれてたのだろうか。
青信号になり再び動き出した車に揺られながら私はポツリポツリと話し始めた
『沖田隊長、平河隊長のお墓の上にあった花束…あれ置いたのって沖田隊長ですよね』
「!」