第8章 愛情にも種類がある
「…」
沖田隊長は何も答えなかった
でも、きっとそうだとわかる
『ありがとうございます…』
「!」
『本当は1番私のこと…理解してくれてたんですよね。ちゃんと向き合って叱ってくれたのにそれに気づきもしないで私は本当に馬鹿です。だから今はごめんなさいって気持ちよりも…感謝の気持ちでいっぱいで…』
言いながらまた泣きそうになった
『私は受け入れられないんじゃない…本当はずっと受け入れたくなかっただけなんです』
時が経つにつれ、遠い人になってしまう彼を…消したくなかった。
『本当は今でも平河隊長が助かる道はあったんじゃないかって何度も何度も思うんですッ。…どうしてあの日、誰も彼を止めてくれなかったのかって…局長や副長はどうして彼にあの任務を任せたのかって…ずっとずっと心のどこかで恨んでたんです!』
1番何も出来なかったのは…自分なのに。
『私…勝手ですよね!護るなんていつも口先だけで、そのくせ戦いから逃げて護られて…私ッこんな自分が悔しくて仕方ない!』
溢れる涙は止まることを知らず、服の袖を濡らしていく
「…悪かった」
『!?』
沖田隊長の予想外な言葉に驚いて顔を上げると、彼は前を向いたまま言った
「お前はアイツが死んでからずっと責任を感じて1人で抱え込んでただろィ」
『…』
「お前がまだ10番隊にいた頃、原田も言ってた。"大石は自分のせいで平河が死んだと思ってる"って。…だから俺はそうじゃねェことをお前にわかって欲しかったんでさァ」
『あ…』
- いつまでも引きずってんじゃねーや -
- 本気で前に進む為にはそれが自分にとって何であろうと振り返ってちゃいけねーんだ!! -
あれは全部…私のことを想って…。
「今日怒鳴っちまったのは…お前にとって俺達が信用されてねェと思ったからでィ」
『…!』
「お前が辛いのもわかる…だが辛いままでいても1歩も前には進めねェ。乗り越えて行かなきゃならねェんだ…俺達みんなで。」
あぁ…そうだ。
私はずっと…これが欲しかったんだ。
「俺達はこんなとこで立ち止まってる場合じゃねェだろィ?だから…」
苦しくて辛い事も共に乗り越えてくれる仲間がいる
「泣くな、大石」
『ウッ…ヒッグッ…』
私が本当に欲しかった居場所はずっと…傍にあったんだ。