第8章 愛情にも種類がある
「ほらよ、銀さん特製のいちご牛乳だ」
ぼーっとテレビを見ていた私に銀さんがコップに入れたいちご牛乳を差し出した
『ありがとう…ていうか作ってないよね?入れただけだよね』
「ちゃんと温めましたー」
いちご牛乳を飲み、一息つく
『お風呂まで貸してもらって…すいません』
「気にすんな、飯作ってもらったしな。まぁどうしてもって言うなら水道代くらいは貰ってやってもいいぜ?」
『物凄く気にするんだけど!!』
いつの間にか部屋には銀さんと私の2人だけになっていた
『新八くんと神楽ちゃんは?』
「新八は実家、神楽は寝ちまったよ」
ガキは寝るの早ェな、なんて言いながらソファにもたれる銀さんを見つめた
「…なに」
『え!』
み、見過ぎたのかな!
「なになに、いい男過ぎて見惚れたか?」
『…』
「嘘嘘!冗談だって」
『…いや、銀さんはカッコイイよ』
銀さんは驚いて私を見つめる
『いつも何も考えてないフリしたり、面倒臭そうにしたりしてるけど…本当はちゃんと考えてくれてるもの。今日も…ううん今日だけじゃない、いつも銀さんは私が自分で気づけないことに気づいてくれる…そういうところ私は凄く憧れるの』
「…ま、どうせ兄貴みてェなもんだからな俺は」
『褒め言葉だよあれ…それに銀さんだって私のこと妹みたいって言ってたじゃない』
「いやまぁ…それは何つーか…」
そう何か言いにくそうに顔を歪める銀さん
『私…あの時嬉しかった』
「…」
『血は繋がってないけど私のこと…ちゃんと想ってくれてるんだって』
居場所をなくした私とまるで本当の家族のように接してくれて
私に居てもいいって言ってくれた。
真選組のみんなの顔が頭に浮かぶ
『私は本当に幸せ者だよ…』
俯いたままの私の頭に銀さんがそっと手を置いた
「当たりめーだろ。お前が大切なんだから…」
『…』
「妹みたいに…大切だ」
『銀さん…』
「…昔から見てきたからよ…お前がどれだけ皆を大切に思ってるかくらい嫌でもわかるぜ」
そう言う銀さんの優しい表情に思わず泣きそうになるのを必死に堪えた
『ねぇ銀さん…お願いがあるんです』
「あ?」
『平河隊長のお墓参りに付き合ってくれませんか?』
「…え、今から?外暗ぇし、雨降ってるけど」
『お願い…』
「…しゃーねェな」