第1章 人に豚とか言うのは失礼だ
会議室に入り集められた隊士達の中に混じって副長の話に耳を傾けた
「いいかお前ら、今から各隊の再編成を行う」
『再編成?』
「各隊の人数や隊士の配属を変えるんだよ」
独り言のように呟く私に隣に座っていた山崎さんが言った
『配属って…そんな頻繁に変わるものなんですか?』
「いや…余程の問題がない限りは滅多に変えたりしないんだけど…」
そう言って山崎さんは言いにくそうに顔を歪める
『……あの事件ですか』
「うん…局長も副長もかなり責任を感じてるみたいで…きっと今回の編成もそのことがあるからなんだと思う」
そう言って山崎さんは下を向いて拳を握った
そんな彼の拳を見つめ口を開いた
『…編成って具体的にどうやって決められるんですか?』
「基本的にはやっぱり腕が立つ者から順に一番隊に配属されるんだけど、たまに"隊士を鍛えるために"とかって実力がそれほど高くない人も混ぜたりするんだよ」
山崎さんの話に納得しながら副長の話を聞いた
「それじゃ名前呼ぶからな、まず一番隊」
そう言って手元の資料を見ながら名前を呼んでいく副長を横目に目の前に座っている原田隊長を見つめた
「なんだよ、」
目が合うなり顔をしかめる彼は現在私が所属する十番隊の隊長である
『また同じ隊になれるといいですね原田隊長!』
「俺、もし次もお前と一緒だったら辞職するわ」
『私はどこまでも追いかけますよ』
「鬱陶しいからついてくんじゃねー」
『ひどっ!』
強くなりたくないわけじゃない、ただ私は私のちゃんと落ち着く場所で自分を磨きたいだけなのだ。
しかしそんな私の理想像はこの後粉々に砕け散る
「同じく一番隊、大石結衣」
『えっ』
一瞬にしてまわりが静かになった
そんな中、私の目に映ったのは驚いて私を見つめる山崎さんとガッツポーズをキメる原田コノヤロー
そしてアイマスクを外し無表情で私を見つめる
沖田隊長の姿だった