第26章 他人の惚気話は無駄に長く感じる[杏子side]
あれ…ひょっとしてこれ私今、同情されてる?
自分から振られた事実をカミングアウトして傍から見たら慰められてるようなこの状況に急激に恥ずかしさを覚えた私は慌てて彼の手を振り払った
「いつまで触ってるんですか、そもそも私の話はどうでもいいんですよ!」
「オメーから話したんだろうが」
「それに一途だな、なんて少なくともあなたにだけは言われたくないです」
「はぁ?」
意味がわからないといった表情の銀さんを無視してベンチから腰を上げた
「じゃあ、私はそろそろ戻りますね。結衣さんの様子、私も気になりますし」
「おー…」
そう気怠げに返事をする銀さんに振り向き、口を開いた
「でも…さっきは結衣さんにはあなたも必要だ、なんて言いましたけど」
「…」
「彼女に初めての好きを伝えるのは早い者勝ちですよ?」
「…?、ちょっと待て、俺結衣が好きだなんて杏子ちゃんに一言でも言ったっけ?」
「女の勘、舐めないで下さい」
額に汗を掻いて私を見つめる銀さんにそう一言言い残し屯所への道を歩いた