第25章 人は試練を乗り越え強くなる【真選組女中編⑤】
『わぁ、グッズとかも売ってるんですね!』
「まぁ…遊園地だからねィ」
出口付近に並ぶお店を覗くと、そこには遊園地のマスコット人形やキーホルダーなどがたくさん売られていた
『あ、御守り…』
目に入った綺麗な御守りを手に取る私に沖田隊長は小さく笑って同じように御守りを手に取った
「オメー好きだな、こういうの」
『でも綺麗ですよ?』
言いながら御守りを見つめる私に店の人が話しかけてきた
「お客さん、その御守り綺麗な色でしょ?」
『はい!他にもいろんな色があるんですね…』
「この御守りは色によって効果が違うんだよ。例えば今お客さんが持ってるそのピンクは恋愛運、そしてお連れのお兄さんが持っている黄色のは金運、そして私が持つこの緑は健康運の御守りさ!」
『へぇ!!』
店員さんの話に目を輝かせる私に沖田隊長は呆れたように溜息をついた
「つーか、普通の御守りなら別に遊園地じゃなくても他の所で…」
『買います!!』
「オイ…。」
「まいど、お客さん!」
沖田隊長の言葉を無視して緑の御守りを店員さんに手渡した
「お前平河から貰ったそれがあるくせに新たに御守りなんか増やしてどうするんでィ…つか何で緑?」
『いえ、これは私じゃなくて…母上に…』
「!」
『御守りなんて気休めかもしれないですけど、家を飛び出してから母上には今まで何もしてあげられなかったから…せめてこの御守りに想いを込めて母上が少しでも早く元気になってくれたらと…』
そう言って微笑むと沖田隊長は黙って私の頭に手を乗せた
『沖田隊長…?』
「オイおっさん、その御守り…俺が買いまさァ」
『え!ちょ、何言って…それは私が!…』
「いいから、俺が払うっつってんだろィ」
『でも、そんな…沖田隊長に払ってもらうなんて悪いですよ!』
会計を済ませ、御守りをこちらに渡す沖田隊長から私は渋々受け取り、眉を下げた
「それ…ちゃんと渡せよ」
『…』
「責任重大だぜィ、何せ俺の気持ちもその御守りに入ってんだからな」
『…!』
「ちゃんと届けねェと、切腹させるぜ」
沖田隊長…。
『はい…ありがとうございます…』
沖田隊長の言葉に頷き、ぎゅっと御守りを握り締めた
満足そうに微笑み、前を歩くその背中はまるで
ー 結衣!ー
出逢った時の…あの人のようだった
