第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
「結衣!こっちだ」
『わッ…!』
銀さんに腕を引かれ連れてこられたのはお店の裏口だった
「外の奴らも中でヅラを相手に加勢してる、抜け出すなら今がチャンスだ」
『銀さん…』
「んなショボくれた顔すんな、礼なら一番身体張ったぱっつぁんにしてやってくれや」
そう言って微笑む銀さんに頷き、私はつけていたウィッグをその場で外した
『ありがとう、銀さん』
裏口から外へ抜け、私はそのまま屯所を目指して無我夢中で走った
時より頭が酷く痛み意識が朦朧とするのを必死に耐えながらひたすら足を進めた
『はぁ、はぁ…やっぱり…さすがにあの量のお酒はまずかったかな…』
独り言を呟きながら屯所への道を走るが、その足も徐々に不安定なものになり終いには足が絡まり、その場にうつ伏せに倒れ込んでしまった
頭がぼーっとする…。
あと少しで屯所なのに…。
次第に重くなっていく瞼と意識を失いそうになったその時、誰かが私を見下ろし、そっと手を伸ばした
…だれ?
「全く世話の焼ける女でィ…」
『…ぇ?』
この声は…。
微かに視界に映ったその姿を最後に私はそっと意識を手放した
翌日
目を覚ますと見覚えのある天井が視界いっぱいに広がり、何故か私は布団に横になっていた
『あれ私…昨日あれからどうしたんだっけ?』
確かすまいるから抜け出して屯所までの道を走ってて…。
昨日の事を思い出しながらゆっくりと身体を起こしたと同時に頭に鈍い痛みが走った
『私…どうやって屯所に…あれ、ていうか何で袴に…』
- 全く世話の焼ける女でィ -
もしかして沖田隊長が…?
『は、そうだ!沖田隊長!!』
次の瞬間、私は勢いよく部屋を飛び出し沖田隊長の部屋へ向かった
あの時、倒れた私を運んでくれたのが沖田隊長だったとしたら!
『沖田隊長!!』
スパンッと部屋の襖を開けるとテレビを観ながら横になった沖田隊長が不機嫌そうに私を睨みつけた
「相変わらずノックしねェなてめーは…」
『あ、…あの!…』
どうしよう、あれから私を屯所まで運んだとしたらキャバクラにいたことも当然知ってるよね…。
ただでさえ気まずい状況だったのに今回の件は間違いなく土方さん達にも報告されてるだろうな…。
『沖田隊長…私は…』
「土方さんがお呼びだぜィ」
『え…』