第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
さすが…何だかよくわからないけどさすがだよ、パチ恵!
彼の行動に感動して同じようにお酒を飲もうとした次の瞬間、パチ恵さんは顔を真っ赤にして物凄い音を立ててその場に倒れた
『パ…パチ恵さんんん!!!』
やっぱりラッパ飲みはキツかったんだ!
それにしても早い!早過ぎるよパチ恵さん!
「どうした、具合でも悪いのか」
倒れた新八くんを支える私に将軍は心配そうに言った
『な、何ともありません!少し張り切り過ぎちゃったみたいで…』
「…何だかよくわからんが、この者は余を楽しませるためにこのような無理をしたのだろう…。気持ちを無駄には出来ん、余にもその者が飲んだ酒をくれぬか?」
ええええ!?
『いえ、あのっ…本当に大丈夫です!今日はちょっと調子が悪かったみたいですけどパチ恵はいつもは全然平気ですから!お構いなく〜』
「しかし、それでは余の気が…」
『いやいやいや、お願いですから上様は真似なさらないで下さい!危険です!』
強めの口調で言い切った私はその数秒後、自身の言葉の重大さに気づき、とてつもない後悔が生まれた
目を見開いて私を見つめる近藤さん達に私はついに何も言うことが出来なかった
どうしよう…顔が上げられない。
「オイ…君ってもしかして…」
全身にドッと冷汗を掻き、その場に立ち竦む私に近藤さんが何か言いかけた次の瞬間、
「ハーハッハッハ!甘いな真選組!」
『!』
突然桂が立ち上がり、床に手榴弾を投げつけた
「そ、その声は桂!!」
桂の正体に驚き刀を抜く土方さん達だが、煙幕のせいでその姿を見つけることが出来ない
「貴様ら揃いも揃ってこの俺の正体に気づかんとは情けない」
「クソッ、どこだ桂!!」
一方私も煙で自分がどこにいるのかわからずにいると、突然誰かに右腕を掴まれた
『桂!』
「今のうちに逃げろ」
えっ。
煙の中、微かに見えたその表情は攘夷志士の桂だった
『桂あんた…最初から気づいて…?』
「フン、貴様のようなインパクトの強い女…そう簡単に忘れるわけなかろう…」
『でも、…』
「何故貴様を逃がしたか…」
『!』
「例え敵でも死んで悲しむ者が俺の周りには多勢いると知ったからさ…」
『えっ…?』
桂の言葉に目を見開いた次の瞬間、
「桂ァアア!!」
傍で沖田隊長の声がしたと同時に反対の腕を銀さんに掴まれた
