第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
「美味そうだろコレ、これもオジサンの奢りだから遠慮せずに食べてってね〜」
い、いちごケーキだとおおお!!?
目の前のいちごのワンホールケーキに目を輝かせる私に近藤さんは意外そうに言った
「何だ、あんたケーキが好きだったのか?」
『はい!もう甘いものとか大好き…で…』
言いかけたその時、私は慌てて自身の口を手で塞いだ
あ、危ない!思わず素が出てしまうところだった…。
冷汗を掻いて辺りを見回すと皆一斉に私の方を向いて驚いた顔をしていた
「ははは!そうか甘いもの好きか、まるでウチにいる女隊士みたいだな」
『す、好きじゃないですよ!何言ってんの勘違いしないでよねゴリラ!!』
「いやなんで急にツンデレになってんだよ」
「というか俺ゴリラじゃないんだけど…」
私の言動にツッコミを入れる土方さんと隣でそっと涙を流す近藤さんに私はただ苦笑いを浮かべることしか出来なかった
「なら…食わねェんですかィ?」
『え!?…』
切り分けたケーキをお皿に取りながら沖田隊長がこちらに振り向き言った
『え…えっと…』
「良ければ皿に取りますぜ、それ以上太ってもいいならですけどねィ」
『ぐッ…』
何も言えず俯く私を沖田隊長は楽しそうに見つめる
くっ、こんな時までドS発揮しなくていいんだよ!
「コラコラ総悟、女性にはもっと優しく接しなきゃいかんぞ。みっちーさん、好きなら遠慮せずどんどん食べるといいさ」
『だから好きじゃないって言ってんでしょ、しばくぞゴリラ』
「いや最早ただのツンだよね!?頑なにゴリラだよね!?」
くっ…どうしよう。
早くここから抜け出したいのに…この高級ケーキも捨て難い!!
ケーキという誘惑に対し葛藤を繰り広げる私に傍で見ていたパチ恵さんが声を掛けてきた
「ちょっと、蜜子!お客さんのグラスが空よ」
『えっ…』
ハッと我に返る私に新八くんはそっと耳打ちする
「大丈夫です結衣さん、作戦は銀さんに聞きました。とにかく僕に合わせて下さい」
新八くん…。
グッと親指を立てる新八くんに頷くと次の瞬間、彼は目の前の酒瓶をラッパ飲みし始めた
な、なるほど!場の空気を盛り上げて勧めなくても自然とお酒に手が行くようにする作戦か!!
瓶の中のお酒を全て飲み干した新八くんは歓声と拍手の中ドヤ顔で瓶をテーブルへ置いた
