第4章 知り合いは多いと得をする
数分後、銀さんと近くの公園に行きベンチに腰掛けた
銀さんとは私が真選組に入る前からの付き合いで、私が仕事が上手くいっていない時によく話を聞いてもらったり、暇なとき万事屋に遊びに行ったりすることが多い
「ほら、やるよ」
そう言って渡されたのはさっきの店で銀さんが買った簪だった
『えッ!?でもこれっ』
「間違えて買っちまったんだよ」
『間違えたって…さっき銀さんっ』
「うるせぇな、そういう時は黙って貰っとくの!だから可愛くねぇとか言われんだよお前は」
『…』
さっきの沖田隊長とのやりとりもあってか言い返すことが出来なかった私は黙ってその簪を受け取るしかなかった
『でも…どうしてこれを私に?』
「んなもん男が付けるわけねーだろ?女が付けるからいいんだろーが。…んでたまたま近くにいた女がお前だっただけの話」
『…でも銀さん…お金ないのに』
「そこはツッコむな」
箱を開けるとピンクの桜模様の簪が入っていた
『可愛い…』
束ねた髪にそっと挿し銀さんに振り返った
『ありがとう銀さん』
そう言って笑うと銀さんは何も言わず頭を2、3回掻き歩き出した
その後を私も追いかける
『ヘヘッ女の子っぽいですか私』
「うんかわいーかわいーー」
『凄い棒読み!!』
この時の銀さんの耳がほんの少し赤くなっていたのはきっと気のせいだと思う
銀さん…きっと私に気を遣ってくれたんだ。
私の考えてることは銀さんには何でもお見通しだ
でも私はこういう彼の優しさに何度も救われている
私もいつか誰かを救ってあげられるような人間になれたらいいなぁ。
「言っとくけどお前それ失くしたらしばきだからな」
『ええっ!?』