第4章 知り合いは多いと得をする
洗面所で寝癖を直し屯所を出ると外は眩しいほど明るくて空は雲一つない青空が広がっていた
『もうじき夏だなぁ…』
確か今日の巡回はかぶき町だったっけ。
少し歩いて通りに入るとさっきとは打って変わって町は賑わい出した
お店がたくさんあるからか人もそれなりに多い
『あれ?こんな所に店あったっけ?』
そこには今流行りの着物や靴やらが並んでいて、思わず立ち止まり見惚れてしまった
ダメダメ!今は仕事中だし我慢我慢!
ふと店の中にいる自分と同い年くらいの女の子たちが目に映った
短い着物にニーハイ、お洒落な髪型にお化粧
もし私が普通の女の子だったらあんな格好もしてたのかな…。
だけど私はもう…あっちには戻れない。
今まで何人もの人間をこの手で斬ってきた、自分からこの世界に入ったのだから
『あ、この簪可愛い…』
目に入った簪を手に取って眺めていると店の人に話しかけられた
「いらっしゃい!!お嬢さんその簪が気に入ったのかい?」
『えッ!い、いやぁその…』
簪を慌てて元の位置に戻した
「お?その格好…真選組の隊士さんかい!ご苦労だね」
店主さんはそう言って先程私が持っていた簪を私に差し出した
「これお嬢さんによく似合ってると思うよ。今ならサービスで安くしますよ?」
『や、あのッ!だ、大丈夫です…ので!!』
「そーかぃ…?残念だね…」
「んじゃ親父ーそれ俺買うわ」
「あ、へィまいど!旦那」
声のする方へ振り向くとそこにいた人物に思わず目を見開いた
『ぎ、銀さん!!』
「…よぉ」