第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
その後も相変わらず将軍様以外は随分と盛り上がっている様子で、私はというとまだ始まって1時間も経っていないうちから既に疲労しきっていた
いや、疲れというよりこれはストレスに近いのかもしれない。
そんな私の不機嫌オーラに気づいた銀さんは皆の目を盗みながら"こっちに来い"と手招きした
『…なんですか』
「なんですかじゃねーよ!んな無愛想なキャバ嬢がいるか!ちゃんとしねェとすぐに奴らにバレちまうぞ」
『そりゃ隣にあんなイライラ生産機がいれば無愛想にもなりますよ!!』
そう言って向こうの席に座る沖田隊長を指差すと銀さんは苦笑いを浮かべた
「でもまァ、今のところはバレてはねェんだろ?」
『…だと思いたいですけど』
「ま、勘のいい野郎2人に挟まれてちゃ…バレんのも時間の問題かもな…」
『うん…』
だけど私は今回、土方さん達には死んでもバレるわけにはいかない。
成り行きとはいえ、桂に捕まり情けをかけられた挙句終いにはこんな格好でキャバクラの接客をしてるなんて知られたら…
間違いなくクビという名の切腹ものだ。
自身の末路を想像し、顔を青くしていると突然銀さんにデコピンを食らった
「眉間に皺寄ってんぞ」
『銀さん…』
「安心しろ結衣、考えはある」
『え、考えって…?』
「決まってんだろ、」
首を傾げる私に銀さんは少し得意気な顔で笑う
「奴らに気づかれないようお前がここを抜け出す方法だよ」
『!』