第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
お妙さんに殴られ、遠くに吹き飛ぶ近藤さんに溜息をつく土方さん
いつもなら私が救助しに行く場面だけど、正体がバレかねないうちはヘタに身動きも取れない
心の中で必死に近藤さんに謝りながら黙って席に座っていると
「みっちーさん、」
『は…はぃ!?』
突然、隣に座る沖田隊長が私を見つめ言った
「アンタ…誰かに似てるとかって言われたことありやせんか?」
『え…』
沖田隊長…急にどうしたんだろう…。
ま、まさか私の正体に気づいて!?
『えっと…そ、それは芸能人的な誰かに似てるということですかね!?よく言われるんですよね〜あははは!!』
必死に誤魔化そうと早口で喋る私を沖田隊長は更に不審な目で見つめる
「いや、どっちかってーと俺の知り合いに似てるような…」
やばい、バレる!マジで正体バレる5秒前だよこれは!
じっと私を睨む沖田隊長に冷汗を掻きながら必死に目を逸らした
『あ…あのいや多分気の所為ではないかと…』
「あ、思い出した」
ぎゃあああああ!!!終わった私の人生!!
次の瞬間、ポンっと手を叩いて沖田隊長は私を指差した
「いつもよく行く公園にいる犬だ」
『は……い、犬?』
予想外の答えに目を点にして固まっていると沖田隊長は更に続けて言った
「仕事中よく見かけるんでさァ、アンタに似たブルドッグ」
『ブルッ…!?』
な、何だこの客!…いや知ってるけど腹立つことこの上ないんですけど!!
顔に怒りマークを浮かべる私に入口付近に立つ銀さんは抑えるようにジェスチャーする
そ、そうだ、ここは耐えるんだ私!
今の私は臨時で入ったキャバ嬢の蜜子。
なるべく感情は表に出さないようにしなくちゃ…。
『そ、そう言われてみれば確かに似てるかもしれませんね〜!あははは』
「まぁ気にすることはねェですぜ、ウチには豚が居るんで」
私か!それは私のことじゃないだろうな!!
沖田隊長の言葉に頷きながら必死に理性を保っているとお妙さんと数人の女の人達が注文した料理を運んで来た
よし、取り敢えず話題を逸らそう。
『わ、わぁ〜美味しそうですね!』
「この春巻き装いやしょうか?」
『はい!ではお願いします!!』
「じゃあはい、お手」
そう言って少しSな笑みを浮かべ手を差し出す沖田隊長
『ぐッ!』
マジしばきたいこの人!!
