第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
「では皆さん、何お飲みになりますか?」
「焼酎水割りで」
「いやここは初っ端からドンペリだろ」
お妙さんの言葉に皆好き好きに飲み物の名前を出していく
「わかりました、土方さんと沖田さんは何飲まれますか?」
「…俺は仕事中だから酒は遠慮しとくよ、代わりに水でもくれ」
「あ、じゃあ俺にも水下せェ」
ちょっと待って…。
「アンタは何飲みやすかィ?」
そう言ってメニュー片手に私の顔を覗き込む沖田隊長
し、しまったぁぁ!!完全に座る席間違えたぁああ!!
そう、今私の座る席は土方さんと沖田隊長の間…つまり最も危険な位置!
よりにもよって何でこの席に座っちゃったんだ私!
まだ将軍と松平公の隣の方がよっぽどマシだった気がする!
あ…いやでもそれはそれで触られたりしても困るしなぁ。
「オイあんた、聞いてんのか」
『えっ!?』
突然ハッと我に返ると左隣に座る土方さんが不審な目で私を見つめていた
「え、じゃねーよ。飲みもん頼んでねェの、あんただけだぜ」
『あ、そ…そうでした!では、えっと…烏龍茶を』
メニューに乗っていた"烏龍茶"を指差すと向かいに座る近藤さんが少し驚いた様子で言った
「へぇ、お水の仕事なのにお酒飲まねェなんて珍しいな」
えっ!珍しいの!?
近藤さんの言葉にギクッとなり慌てて再度メニューを開いた
『あ、あのやっぱり烏龍茶っていうのは嘘で、このて…テキーラ?にしよっかな〜!!』
「いやそれはそれでキツいだろ、逆に」
『え…』
土方さんの言葉に頭が混乱し、プチパニックを起こしているとお妙さんが口を開いた
「でもいいんじゃないですか、何かの料理と一緒に飲めばより美味しく感じると思いますよ」
『そ、そうですよね!!』
お妙さん…!さり気なく私をフォローしてくれた!!
さすがこの店一の指名率キャバ嬢!
お妙さんの機転に感動していると右隣に座る沖田隊長がこちらを向いた
「そういやアンタって臨時のキャバ嬢なんでしたっけ」
『えっ、はい蜜…みっちーって呼んでください!』
私の言葉に事情を知るお妙さん、新八くん、そして傍に立っていた銀さんが一斉に俯き肩を震わせ笑う
って、もういいよそのリアクションは!!
「それじゃ、私はお料理取ってきますね」
「お妙さん!!自分も行きま…」
「てめぇは消えろ!」
「ぐはッ!」
