第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
『…でも、ここには桂もいるんだよ。違う意味で色々とバレそうな気がするんだけど…』
「それも心配いらねーよ、ほら…あれを見ろ」
そう言って銀さんが指差す方を向くとどこから現れたのか、ロングヘアの女性が近藤さん達の隣に腰掛けた
って…あれ、女性?
「どうも、臨時で入ったヅラ子と申します」
いや…ちょ、何やってんのあの人(桂)ー!!
近藤さんと至近距離で見つめ合う桂の姿に私は全身にドッと冷汗を掻きその場に固まった
何あの距離感!あんなの正体がバレるどころか自らバラしに行ってるようなもんだよね!?
隣に座る桂の姿を近藤さんは不審な目で見つめる
「あの…ひょっとして僕らどこかで会いましたかね?何か初めて会った気がしないんですが…」
ほら、やっぱりバレた!!早くそこから離れて!!
「まぁ、それは今ゴリラの中で流行ってる口説き文句か何かかしら?…でも実は私も初めて会った気がしないの。何故だかあなたに運命的な何かを感じるわ!」
いや"感じるわ"じゃないよ!!
とんでもない状況で運命的な再会を果たしてることに気づけ!!
奇跡的に正体のバレていない桂に安堵しつつ、再び鏡に映る自分の姿を見つめる
でも…そのうち桂も私も正体がバレるのは時間の問題だ。
この際桂のことはもうどうでもいいけど、私だけは何としても正体がバレないようにしなくちゃ!!
眉間に皺を寄せ覚悟を固める私に新八くんが言った
「大丈夫ですよ結衣さん、僕らこういうのには慣れてますから!」
『パチ恵さん…』
「事情は全部銀さんから聞いてます。僕も出来る限り協力しますから安心して下さい!!」
新八くん…私の為にこんな格好を…なんていい子なんだ。
『すみません…じゃあ…いいですか、お願いしても』
「はい!任せて下さい!!」
新八くんが頷いたと同時に松平公がこちらに振り向き言った
「おい、そこのダセェ三つ編み女…早くこっちに来て酒持って来い」