第23章 仕事とプライベートは切り分けろ【真選組女中編③】
私の前を通り過ぎ将軍の座るテーブルへ向かう局長達を見つめる
ちょ…ヤバい…ヤバすぎるよこれは!!
将軍と松平公だけなら何とか誤魔化せると思ったけど…あの3人と至近距離で話せば確実に私の正体がバレてしまう!
隙をついて抜け出す作戦も考えたけど、さっきの土方さんの話だと外の警備もかなり厳重みたいだし…そんな中ヘタに出てったら怪しまれる可能性大だよね…。
『ぎ、銀さんどうしよう!あれ将軍…』
言いながら隣に立つ銀さんの方を向くと彼は無表情で将軍と松平公を見つめていた
『…銀さん?』
「安心しろ結衣、あれは将軍じゃねェよ」
『は!?何言ってるんですか、どう見ても将軍ですよ!』
「いやお前こそ何言ってんの?全然違ェだろ…だってほらあの人は"将ちゃん"だから。将軍みたいだけど名前は"将ちゃん"だから」
『だから"みたい"じゃなくて本物の将軍なんです!現実から目を逸らさないで下さい!!』
眉間に皺を寄せる私にスーツ姿の銀さんはサングラスをズラし不敵に微笑んだ
「まぁとにかくこの先は俺と新八で上手くやっとくから、お前は出来るだけ奴らに正体がバレねェよう用心しとけ」
『え、新八くん…?』
そういえばお妙さんが新八くんにも店の手伝いをさせてるって言ってたような気がするけど…一体どこにいるんだろう。
「結衣さん!」
新八くんの姿を探しながら辺りを見回していると突然後ろから肩を叩かれ、驚いて振り向いた
するとそこにいた人物の姿に私はさらに目を大きく見開いた
『え…し、新八くん!?』
「いーえ、私の名前は…パチ恵ですっ♡」
ダメだこれ…もうどっからツッコめばいいのかわからない。
三つ編み眼鏡の目の前の少女はどっからどう見ても新八くんで、私は顔を引き攣らせながら銀さんに振り返った
『えっと…とりあえず…何ですかこれは』
「何って決まってんだろ、元祖愛され系女子と言えば三つ編みお下げ髪だ」
『いや、そうじゃなくて何で女装なの?……可愛いけど』
「あの真選組連中の中にお前1人じゃ気づかれちまう可能性があるだろ?俺は身動きが取りやすいようこうして店のボーイ役、そしてテーブルでお前の正体がバレねェよう上手くサポートするのが…このパチ恵ってことだ」
言いながら新ぱ…パチ恵を指差す銀さんに溜息をつき、奥のテーブルに座る局長達を見つめる
