第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
『失礼します…』
後日、副長に呼び出され会議室に入るとそこには1番隊の隊士達も同じように呼び出されており、その状況に私は何となくこれから告げられるであろうことが予測できた
「来たか結衣、取り敢えず座れ」
副長に言われ、その場に腰を下ろすと彼は淡々と話し始めた
「今回の討ち入りの件、お前らも知っての通り隊士3人が命を落とした」
『…』
「1人のミスでも全体には大きな影響を与える…今回のミスは1番隊大石結衣、お前のミスだ」
土方さんが私の名前を挙げると、隊士達の視線は一気に私に集まった
「戦いに犠牲はつきものだ、だが私情を挟んだ戦いは認められねェ…お前にはそれなりの処罰を下さなきゃならねェんだ」
『副長…私は与えられた任務を遂行出来ませんでした。なにより自分のせいで仲間を死なせてしまった…はじめからそれ相応の覚悟は出来ています…』
私の言葉に土方さんは目線を目の前の書類に移す
そして…
「大石結衣、お前を本日をもって1番隊から除名する」
『ッ!』
「副長!!大石ちゃんを真選組から追い出すなんてあんまりだぜ!」
「そうだそうだ、確かに怪我のことを隠してたのは掟に反することだ!けど大石がどれだけココで頑張ってきたか副長も知ってるだろ!?」
「沖田隊長も!黙ってないで何とか言って下さいよ!」
端に座りアイマスクを装着した沖田隊長に隊士達は詰め寄るが彼はずっと黙ったままだった
「うるせェな、テメーら最後まで話を聞きやがれ!」
顔に青筋を浮かべ怒鳴る土方さんにみんなは一斉に静かになった
「1番隊から外すとは言ったが辞めろとは言ってねェだろ」
『!…』
「今回は俺にも少し責任がある。廃屋の見取り図は完璧だったはずだが窓がなかったこと、床下に浪士たちが人ひとり入れる穴を掘っていたことまでは把握出来きなかった。俺のツメが甘かったせいだ、すまねェ」
『副長…』
「それらも踏まえ今回の件、責任をお前だけに負わせるわけにはいかねェ」
ま、まさか…副長も真選組をやめ…
「よって本日よりお前を真選組女中に任命する」
『え…』
えええええ!?