第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
『ちょ、ふ…副長!何でそんなことにッ』
「本来なら戦いに私情を挟んだテメーは切腹になる。だが今回は俺にもミスがある…だからお前が1番隊から外れるプラス真選組の女中になることで今回の件は収めようっつってんだ」
『いや全然意味がわかりませんよ!何で副長のミスが私の罰にプラスされてんですか!ここは副長も副長を辞める、もしくは切腹すべきでしょう!』
「はぁ?ふざけんな、何でお前の為に俺がんなことしなきゃならねェんだ!!とっとと刀を置け」
『嫌ですよ!女中なんて私は…ぐはッ』
納得がいかず土方さんに食い下がる私を隊士達は次々と押し退ける
「副長ー!さすがだよアンタ!」
「これで大石ちゃんが真選組を辞めさせられることも切腹させられることもなくなったし…良かった!!」
いやいやいや、何も良くないんですけど!!
『ちょっと待ってください!私は絶対に認めませんよ!』
「オイ潔悪いぞ大石ちゃん!」
「そうだ、副長の命令は絶対だぞ」
『さっきまで反対しまくってたのどなた達でしたっけ!?』
喜ぶ隊士達を横目に副長は沖田隊長を見つめた
「総悟、オメーもこれでいいな?」
『!』
そうだ、沖田隊長!
彼なら絶対こんなこと認めないはずッ
「…そうですねィ、まぁ俺的には土方さんが切腹するのが最も早い解決策だと思ったんですけど…」
「んだとコラァ!!」
沖田隊長は1つ欠伸をするとアイマスクを外しゆっくりと腰を上げた
「そこのアホ女には切腹より良い刺激になるんじゃねェですかィ。…刀も握れねェことだし」
『え…』
「それに消え去った女子力も戻ってくるかもしんねェでしょ」
そう言って沖田隊長は私と1度も目を合わせることなく部屋を出て行った
「…意外だな、隊から外すのはアイツが1番反対すると思ってたんだが…」
沖田隊長が出て行った方を見つめボソッと呟く土方さんの言葉に私はそっと自身の痛む胸を押さえた
「結衣、んなシケた面すんな。どのみちその足にその傷じゃ、ろくに刀も握れねェし戦力にならねェ」
『…。』
「それに切腹よりマシだろ」
「大石ちゃん、女中頑張れよ!」
「目指せ女子力向上!なんつってな」
私に向け一言残しながら賑やかに部屋を後にする隊士達を見つめる
「…な?」
『いや切腹のほうがマシですよ!』