第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
『ごめん…なさい!…ごめんなさ…い!』
結局、その時私の口から出たのは謝罪の言葉だけだった
「…何がでィ。…任務を全う出来なかった事へかそれとも、隊士を死なせた事への罪悪感からか?」
『…』
「何で足のこと…隠してた」
沖田隊長の言葉に私はすぐに返すことが出来なかった
きっと…今何を言っても言い訳にしかならない、そう思ったからだ。
…私はただ、副長や沖田隊長に認めてもらいたくて…早くみんなを護れるくらい強くなりたかった
ようやくその時が来たのに…。
『私は…やっぱり弱いです。どんなに努力しても決して越えられない壁が私にはあるんです…』
「…」
そう、
だからいつかみたいに
- 平河隊長!今回の任務、私も一緒にお供させて下さい! -
- いや、お前は屯所でいつ浪士たちが来てもいいように他の隊士達と待機しているんだ -
- …はい -
また置いていかれるかもしれない。
- ねぇ、平河隊長。私はいつ平河隊長の隣で戦わせてもらえるんですか? -
- んー?そうだなァ…お前が今よりもっと強くなって俺に勝つことが出来たら考えてやるかな -
- 言いましたね!約束ですよ! -
- おぅ、約束だ! -
そう少年のように無邪気に笑った彼の顔は今でもよく覚えている。
結局、その約束が果たされることはなかった…そしてこれからも果たされることはない。
あなた一人に勝てない、あなた1人も護れなかった私だから、せめて貴方の大切な人達だけは…この手で護りたかった。
『私は…みんなの力になれるのは今しかないと…ただそれだけを考えて剣を握りました』
でも結局私は…戦うことも、護ることも出来なかった。
『武士らしく腹を切る覚悟は出来ています…』
俯く私に沖田隊長は呆れたように溜息をついた
「…何でィそれ。んなもんただのテメェの自己満足じゃねェか」
『!?』
「仲間の為、真選組の為?…違うだろィ。本当は全部テメェ自身が自分の為にやったことじゃねーか」
沖田隊長の鋭い視線が私に突き刺さる
「武士らしく切腹?…ふざけんじゃねーや」
「今のお前は武士なんかじゃねェ。ただ綺麗事並べるだけの身勝手な人間だ!」
『ッ!』
冷たい目をしてそう言い放ち、部屋を出ていく彼に私はその場に立ち尽くすことしか出来なかった