第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
決戦当日
「いいかテメェら!これから各隊それぞれの指示に従い計画通り行動しろ!但し油断はするな!敵に足すくわれたら最後と思え、行くぞぉお!」
「「オオッ!!」」
廃墟前に着いた私達は土方さんの計画通り、少数に分かれ出入口を塞ぐ
私も最初の指示通り、建物の裏へ回ろうと足を動かしたその時
『ッ!』
ズキっと痛む右膝を押さえると、そんな私に気づいた原田隊長が駆け寄って来た
「大石…大丈夫か!」
『原田隊長、そんなに大きな声出したら隊士のみんなに気づかれちゃうじゃないですか!!』
「しかし…」
心配そうに私を見つめる原田隊長に私はそっと微笑んだ
『大丈夫です…幸い包帯は服で隠れてますし、片足でも1人で歩けますから』
それにこんな痛み…任務の為ならいくらでも我慢出来る。
「大石、作戦変更でィ。こっちに来い」
沖田隊長に呼ばれ慌てて口を閉じ、1番隊のみんなが集まる場所へ向かった
『どうしたんですか?』
「土方さんの命令で正面をもう1人増やすことになった。…そうすると大石、裏のお前らは5人から4人になっちまうが…いけるかィ?」
5人から4人…ここで人数が減るのは少しイタいけど…
『はい…やってみせます!』
自分の力を信じれば…きっと上手くいく!
沖田隊長の指示でみんなそれぞれの持ち場につき、突入の合図を待つ
裏待機での私以外の隊士たちが私の左右にある柱に隠れる
「大石ちゃん、裏から出てきた奴らは俺達が倒す…お前はその隙に中に入って奥にいる奴らの始末を頼むぜ」
『了解です!』
次の瞬間、沖田隊長の合図と同時に私は裏の扉を勢い良く開けた
「ぐあッ!」
…やはり出てきたか。
扉を開けた瞬間に出てきた2人の浪士をかわし、私はその奥へと向かった
しかし予想外なことに裏には光の入る隙間がなく、部屋は全体的に薄暗かった
『!窓がない…?』
痛む足を押さえながら敵の気配に私は耳を澄ませた
そして次の瞬間、
「うおおおッ!」
背後から刀を振りかざす敵に反応し、瞬時に刀でそれを防いだ
「真選組め…女を寄越すとは落ちたものだな…」
『ただの女じゃありませんから…ご心配なくッ』
バシッと剣を交じらせ目の前の男を睨みつける
…この男1人なら片足でも…。
「大石!下だ!!」
えっ?