第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
診断書を貰う為、現在待合室の椅子に原田隊長と2人して座っている
『ど…どうしよう』
少し動かすだけ激痛の走る右膝を押さえながら俯く
明日は攘夷浪士との斬り合いなのに…最悪だ。
もし、このことが副長や沖田隊長に知れたら…
- はぁ、骨折だァ?んな奴に任務を任せるわけにはいかねェだろ -
- 脚で纏いになりそうだからお前は留守番でィ -
絶対こう言われるに違いない!!
しかも浪士との斬り合いでならともかく、自分から転んでだなんて…恥ずかし過ぎて絶対言えない!!
大量の冷汗を掻く私に隣に座る原田隊長が言った
「大石、そのままだと歩けねェだろうから病院が松葉杖貸してくれるってよ」
『い、いりません松葉杖なんて。それに私…杖なんてなくてもちゃんと歩けますから!ほら…』
そう言って立ち上がり、1歩目から転ける私に原田隊長は溜息をついた
「無理すんな、ほぼ片足にしか体重掛けられてねェだろうが」
身体を起こされ再び椅子に座らされると、私はぎゅっと拳を握り締めた
『無理じゃないです…私は骨折くらいでじっとしてるわけにはいかないんです』
「…」
今回の任務は…今回だけはやらないわけにはいかないんだ!
副長が…沖田隊長が初めて私に任せてくれた仕事なのだから…。
絶対に期待に応えて、今度こそ私の実力を認めてもらうんだから!
「まぁ一応、副長には俺から伝えといてやるよ」
『ッ!』
携帯を取り出し、電話をかけようとする彼の腕を私は勢い良く掴んだ
『お願いします!…私、本当に大丈夫ですから』
"誰にも言わないで"
ギュッと目を瞑り俯く私を見つめ、原田隊長は深い溜息をついた
「…お前の気持ちはわからなくもねェが、明日は1人のミスでも任務全体の大きなミスに繋がる…」
『…。』
「…いくら外側からはわからねェとはいえ、さすがに痛みを抑えるにはお前も限界があんだろ?」
外側からは…わからない。
原田隊長の言葉にハッとなって勢い良く顔を上げる
『そうですよ原田隊長!外側からは見えないんです!!』
「はぁ?」
眉間に皺を寄せる彼は頭にハテナを浮かべた
大丈夫だ、絶対に!