第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
あの後、すぐに近くの病院に行き怪しい眼鏡を掛けた医者に診てもらったところ
「これは……折れてますね、完全に」
『……え。』
どうやら痛みの原因は右足の骨折によるものだった
『せ、先生…今なんと?』
「うん、だから骨折だよ。骨がね、ビャーって…」
『先生ぇぇぇ!嘘ですよね!骨折なんてそれ冗談ですよね!?』
言いながら医者の胸倉を掴んだ
「いや折れてますよ、しかも複雑骨折だね」
『複雑ッ!?…だ、だって見た感じ何ともないのに…』
「見た感じはね…。けど歩くと痛むし、レントゲンでもちゃんと粉々だよ」
『ちゃんと粉々って何ですか!粉々の時点でちゃんともクソもないでしょうが!』
あまりやる気の感じられない医者に向かって怒る私に原田隊長が「まぁまぁ」と言って私の肩を掴む
「んで、こいつの足はどれくらいで治るんですか」
「…まぁ外側から治す薬なんて無いからね…日にち薬しかないかな」
『日にち薬っていつなんですか!今日ですか?明日ですか!?明日にして下さい!明日にするんだろうな、しなかったらその眼鏡叩き割るぞコラ!!』
胸倉を掴んだまま医者の頭を前後に揺らす
「いや……ま、まぁ最低でも2ヶ月はかかるね」
医者の言葉に私の頭にピシャァッと雷が落ちた
に…2ヶ月!?
『だ、駄目ですよそんな!2ヶ月なんて…。何とかしてください!出来れば明日までに!!』
「オイ大石、もうその辺にしとけ」
『原田隊長ッでも…』
「いくぞ」
『待っ…いやだああ!!』
納得がいかず医者に食い下がる私を抱きかかえ、原田隊長は病室を後にした