第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
同時に地面にうつ伏せに倒れる私に原田隊長はすぐ様立ち上がり、斬りかかって来たその人物を斬った
「チッ、まだ残ってやがったのか!」
原田隊長は血を流し倒れる浪士から目線を私に移した
「にしても助かったぜ大石。さっきは不安とか言ったが、瞬発力もあるし沖田隊長がお前に任せたのもわかる気がするぜ!明日の任務、頑張れよ大石!」
言いながら笑う原田隊長に私は先程うつ伏せに倒れた状態から起き上がることが出来なかった
「…何してんの?」
彼はいつまで経っても起き上がらない私を不審な目で見つめる
『あ…が…足がッ』
「足?…おまッ、まさか足を斬られたのか?」
『いや違ッ…さっき転けた時に足を地面にぶつけて…痛っ…』
そう言って原田隊長に手を差し出すと、彼は無表情でその場を後にする
『ちょちょちょ、置いてかないで下さい!』
「何してやがんだ、ふざけてないでさっさと立て」
『立てるものならとっくに立ってますよ!イダッ』
無理に身体を起こそうとすると右膝が尋常じゃないくらいに痛む
そんな私の様子に原田隊長は少し真剣な目で私を見つめた
「大石、お前もしかして…」
『…』