第18章 約束は早くしたもん勝ち
ていうか…。
『邪魔して来たのあの人達だよね?何で私が謝らないといけないんだ!!』
先程の一連の出来事を思い返し、四股を踏みながら杏子ちゃんと巡回ルートを歩く
「…結衣さん、気を遣っていただかなくても大丈夫ですよ?」
『えっ?』
「私が山崎さんのこと好きだなんて言ったから気を遣って言ってくれたんですよね…」
『も、もしかしてさっきの聞いてたの?』
私の言葉に杏子ちゃんはゆっくりと頷く
「確かに両想いになれたら嬉しいですけど…今はまだお付き合いよりも傍にいたいと思う方が強くて…だから私は私なりに焦らず頑張って行こうと思います」
『杏子ちゃん…本当に山崎さんのことが好きなんだね』
「…はい」
そう言って俯き気味に微笑む彼女を見つめる
恋する女の子って…こんな顔するんだな。
なんか…可愛いな。
『ね、どうして山崎さんのこと好きになったの?』
「え、聞きたいですか!?」
私の言葉に杏子ちゃんは目を輝かせて私を見つめた
『え…』
「多分丸々一訓この話で埋まっちゃうと思うんですけど…」
『あ、じゃあやめておこうかな。』
言いながらその場を去ろうとしたところを杏子ちゃんによって足を固定される
「わかりました、じゃあ掻い摘んで話しますから聞いてください!」
それから私はかぶき町周辺を巡回しながら杏子ちゃんの話に耳を傾けた
「私、実は家が道場で父とずっと2人で暮らしてたんです。父は師範をやっていて子供から大人まで多くの人達に剣術を教えていました。…けどある日そんな父が病気で倒れ道場は閉鎖。その翌年父はこの世を去りました。」
『…』
「母を早くに亡くし男手一つで私を育ててくれた父に私は何か恩返しがしたかった…。だから必死に剣術を磨き人並み以上の腕も持つと決めました!…でも父の形見でもある道場を再開させるには今の私の力じゃ到底無理だと思い知りました。…その時です、真選組の隊士募集の貼り紙を見つけたのは」
- 次ッ -
- はいッ、生まれは江戸、17 歳、倉本杏子と申します! -
「女であることに局長や副長も初めは驚いていたようでしたけど…女だからと差別することなく彼らは私の剣の腕をちゃんと認めてくれたんです」
『それで採用されたんだね』
私の言葉に杏子ちゃんはニコッと微笑む