第17章 新しい事を始める前に古いものは片付けろ
「ほら倉本さん、彼女がさっき話してた一番隊の大石結衣ちゃんだよ」
言いながら私を指差す山崎さんの言葉に目の前の女の子は私をまじまじと見つめる
『…』
こ、こんな可愛らしい子が…隊士に。
同じように目の前の女の子を見つめていると、彼女はニコッと笑い礼儀正しく頭を下げた
「よろしくお願いしますね、結衣先輩」
せ、先輩ー!?
『ちょ、みなさん聞きました?私…先輩ですって!!』
はしゃぐ私を隊士のみんなは何故かほのぼのとした表情で見てきた
『ね、沖田隊長…!私先輩らしいですよ』
言いながら沖田隊長の袖を引っ張ると同じように微笑む彼と目が合い慌てて顔を逸らした
いけない…また思い出してしまったっ!
「そうだ結衣ちゃん、せっかくだから杏子ちゃんに屯所の中を案内してやってくれないか」
『はい!あ…でも私今から見回りが…』
「そうか…なら山崎、お前が杏子ちゃんを案内してやれ」
「あ、はい…」
「あのッ!」
近藤さんに言われ山崎さんが頷いたその時、突然杏子ちゃんが沖田隊長の腕を掴んだ
「あの私…沖田さんにぜひ案内をお願いしたいのですが」
えっ…。
「お、杏子ちゃんは総悟をご指名か?」
近藤さんの言葉に杏子ちゃんは頬をほんのり赤く染め頷く
「はい…じ、実は沖田さんには色々とお話をお聞きしたいと思ってましたので…駄目でしょうか?」
そう言った杏子ちゃんの表情に皆は忽ち顔を赤くした
「「もう全然OK!」」
「沖田隊長に何でも聞いてきなさいよー!」
「ありがとうございます!」
『…あの、でも沖田隊長は今から私と見回り…』
「せっかく新隊士からご指名頂いたんだ…これは引き受けないわけにはいかないですよねィ」
な"っ!
「オイ山崎、俺の代わりにそこの雌豚と巡回行って来い」
「はぁ…」
こ、この男…サボりの口実にするつもりだ!!
昨日までは…少し見直してたのに…。
『このサボり野郎ーっ!』
「結衣ちゃん、もう仕方ないから俺らは早く巡回行こう」
山崎さんに腕を引っ張られ渋々外へ出る
その時ほんの一瞬杏子ちゃんと目が合った
「…」
…え?
「ほら行くぜィ餡子」
「もーっ杏子ですよ!」
もしかして今…
「結衣ちゃん行くよー」
『あ、はい』
私…睨まれてた?