第17章 新しい事を始める前に古いものは片付けろ
「んじゃ、さっそく今からお前と総悟で市中の見回りな」
え。
土方さんの言葉に一瞬その場に固まる
『い、今からですか!?』
「土方さんすげえや、こんなにもあっさりと空気の読めない切り替えが出来るなんざ…憧れるぜィ」
「空気を読む読まないの問題じゃねェ、こうしてる間にも攘夷浪士共の動きに関する情報が入って来てんだ。屯所を離れてる間は見逃してやってたが、戻って来たんなら今まで空いた分きっちり仕事してもらうに決まってんだろ」
そう言って煙草を噴かす土方さんを見つめ溜息をついた
やっぱり副長は副長だな…。
『わかりました、確かに私が抜けていた分色々と迷惑掛けてしまいましたし…今から市中巡回行ってきます』
言いながらその場を離れようとした時、
「あ、あのぉ…」
『?』
突然縁側の方から声がして振り向くと、そこには隊服を身に纏った小柄な少女が立っていた
だ…だれ?
「あ、そうだ。二人に大事な事言うの忘れてたよ」
何かを思い出したように言うと近藤さんは奥にいるその少女をこちらへ連れて来た
「実は結衣ちゃんと総悟がいない間、新隊士の採用があってな…決まったよ、今回も」
『新隊士の…採用?』
「定期的に隊士を募ることだよ。まぁ定期的って言っても時期はバラバラなんだけど、主に局長と副長が1人1人の剣術や志を見て判断し、ウチの新隊士として迎え入れる決まりなんだ」
『な…なるほど』
山崎さんの言葉に頷く
そうか…志があっても誰もが入れるわけじゃないんだな。
「それで今回新しくウチの隊士として迎えることになった彼女、倉本杏子(あんこ)ちゃんだ」
「…餡子?」
目の前の少女を見つめ沖田隊長が呟く
「いえ、餡子じゃなくて杏子です」
「ったく近藤さんもいい加減だぜ…ウチは元々女人禁制だっつーのに何でよりにもよって女を選ぶかねェ…」
"つか何で志願出来たんだよ"と土方さんが不満をこぼす
「言うなトシ、こう見えても杏子ちゃんは剣の腕は俺達に引けを取らねェ…様子見で最初は10番隊に就かせるが一番隊に昇ってくる日もそう遠くはねェだろうよ」
それに、と続けて近藤さんは私を見つめる
「結衣ちゃんにとっても自分と同じ女の子がいるというだけで心強いもんがあるだろう。…それに何せ初めての後輩になるんだからな」
こ、後輩!!