第16章 無意識ほどタチの悪いものはない【帰省編④】
話す私を黙ったまま見つめる沖田隊長の視線にハッとなり、慌てて彼に向き直った
『あっ…で、でもやっぱり1人は不安ですよ。今日ここへ来て父上と話すのも私1人じゃきっと出来なかったと思います…』
「…」
『昔局長が言ってました…隣に大切な人がいると思うだけで人は時に何倍もの力を発揮することが出来るんだって。今ならその言葉、良くわかる気がします。』
私にとって真選組のみんなはなくてはならない大切なものの1つで、そんな彼らがいるから今の私もいる。
そして…
信じてくれる人がいるから私は前を向いて歩いて行ける
『私は…沖田隊長が傍にいてくれるなら、それだけで十分なんですよ』
「……」
数秒の沈黙の後、私は自分の口から出た言葉の重大さに気づき慌てて下を向いた
え、ちょ…私今何か間違えた!?
いや…でも間違いでは…いやでも沖田隊長無言だし…
てか…もしかしなくとも今のドン引きされたんじゃ…?
やばい!何言われるかと思うと怖すぎて顔上げられない!!
「大石…」
『は、はい…』
名前を呼ばれ恐る恐る顔を上げると、何故か私の目に映ったのは顔を赤くして私を睨む沖田隊長の姿だった
「それ…最大の殺し文句だぜィ?」
『へ…こ、ころ?』
言いながら沖田隊長は私の髪から頬へと手を滑らせる
「んなもん…俺だってそうでィ」
ボソッと耳元で何かを呟いた沖田隊長はそのまま私のおでこに触れるだけのキスをした