第16章 無意識ほどタチの悪いものはない【帰省編④】
『…』
「…へェ、客人用の寝床もちゃんとあるんだねィ」
な、何でこんなことになってしまったんだろう。
「うお、25階高ェ〜」
言いながら窓の外に顔を出す沖田隊長を見つめる
よし、まず状況を整理しよう。
確かお菊さんが沖田隊長に寝床を用意してるとか言ってて沖田隊長を案内したあと、何故か私もお菊さんに連れて来られたのがこの部屋でそしたらその部屋には沖田隊長がいて…
「にしても今日は色々あったから疲れたなァ。…数秒で寝れそうだぜィ」
そう言って用意された布団の上に私服のまま寝転がる沖田隊長
ていうか…
『何で同室だぁあああ!!』
私は二枚くっつけて敷かれていた布団を思いっきりひっくり返した
「オイ暴れんじゃねーや雌豚。せっかくお菊さんが敷いてくれた布団がぐちゃぐちゃじゃねーか」
『誰が雌豚ですか!てか、何でそんな普通なんですか!!』
「はぁ?オメェこそさっきから何1人で騒いでんだ…眠れねェだろィ」
『眠らんでいいんですよ!!』
お菊さん…全く何考えてるんだろう。
【回想】
「結衣様…後で髪を整えますので私の部屋へ来てくださいね」
『はい…ありがとうございます』
「…沖田様は、あなたのことをよく見ていらっしゃいますね」
『え?』
「彼はきっと…これからもあなたにとって大きな存在となっていくのでしょうね」
『…でも…頼ってばかりもいられませんから。…』
「沖田様のご迷惑になると?」
『…。』
「…もっとお話してみてはいかがですか?」
『え、話?』
「いつも一緒にいるからこそ気づきにくいこともあるのかもしれません。ゆっくり話してみれば意外と…新しい何かが見つかるかもしれませんよ」
と、いうやり取りがついさっきお菊さんとあったわけだけど…。
だからって…よりにもよって今このタイミングで沖田隊長と二人きりにしなくても!!
それに…
私にとって沖田隊長が大切だということは…ずっと前からわかってたんだ。
けど私にはこの気持ちがまだ…上手く表せない。
「オイ」
『ッ!?』
ボーッとしているところを沖田隊長に呼ばれ振り向くとすぐ隣に座る彼と至近距離で目が合った
『ぎゃああああああ!!!』
あまりの近さにとてつもなく恥ずかしくなった私は勢いよく沖田隊長にアッパーカットをお見舞した