第14章 想う分だけ想われる[沖田side]【帰省編②】
その後も言葉通り散々メイド達にもてなされた俺は、慣れない事に一気に疲れが溜まり、椅子に腰掛け溜息をついた
「贅沢過ぎんのも疲れるねィ…」
『すみません沖田隊長。みんな少し興奮してるみたいで…』
「いや…それくらいお前の帰りが嬉しかったっつーことだろィ」
『…そう…ですかね』
そう言って俯き微笑む大石を見つめているとメイドの一人がこちらにやって来た
「結衣様、旦那様がお呼びです」
『…わかりました、すぐに…』
言いながら席を立つ大石の腕を気づけば俺は無意識に掴んでいた
『…隊長?』
「…一人で…平気なのかよ」
『…大丈夫です』
そう言って笑うと大石はそっと俺の腕を離した
『沖田隊長、ここのみなさんはとてもいい人達ばかりなので、どうぞゆっくりしていて下さい』
「…」
"すぐ戻ります"と言って去って行く大石の背中を見つめる
何で俺は…引き止めたんだ。
ただ何となく、あいつを1人で行かせたくなかった。
そう思うのはアイツの過去を知ってしまったからなのか、将また俺の手から離れて行くその姿が惜しいと感じたからか…。
今はまだ気づきたくない。
「あの…お隣よろしいですか?」
突然の声に顔を上げるとそこには先程のメイドが立っていた
軽く頷くとメイドはさっきまで大石が座っていた席に腰を下ろした
「沖田様…ですよね?」
「"様"はいらねーですぜ。そんな大層なモンじゃねーんで」
「…私は結衣様のお世話係を命じられている者でお菊と言います」
世話係…。
「俺に何か?」
「貴方に1つお聞きしたいことがありまして…」
「?」
「結衣様は…やはり刀をお触りになられているのですか」
「!?ッ」
予想外の言葉に俺は飲んでいたコーヒーで噎せかけた