第14章 想う分だけ想われる[沖田side]【帰省編②】
執事のようなその男は俺と大石を交互に見つめ、一つ咳払いをすると黙って前を歩き出した
その後ろを付いて行き、中には入るとそこは広いラウンジだった
「あ、結衣様っ!結衣様だわ!」
「本当!?結衣様が帰ってきましたの?」
「結衣様ー!」
言いながら駆け寄ってきたのはメイド服を来た複数人の女達だった
執事の次はメイドか…。
『みなさん…お久しぶりです。お元気でしたか?』
「ええ、結衣様こそお変わりないですか?ご病気などされませんでしたか?」
『はい、大丈夫です!』
「結衣お嬢様〜っ!よくお戻りになられました!もう婆は心配で心配でっ」
『婆や!…お元気そうで何よりです!身体の具合は大丈夫ですか?』
「何のあれしきの病!私めは3年前のあの日からお嬢様に再会出来ることだけを夢見て必死に病を闘い抜いてきましたのでございます!」
年老いた者から若い者まで執事やメイドに雇ってんのか。
何不自由ない暮らし…
そうまでして…
『みなさんお元気そうで良かったです!』
あの父親はこいつをこの場所に置いておきたかったのか。
「あの…結衣様こちらの方は一体…」
そう言ってメイド達が俺の顔をまじまじと見つめた
『あ…えっと…』
…真選組っつーことは伏せておくべきかねィ、大体こいつがそんな仕事してんの知ったら大騒ぎになりそうだしな…。
「お名前は?」
「え…あぁ沖田でさァ」
「お歳は?」
「お仕事は何を?」
「結衣様とはどういうご関係で?」
メイド達からの質問攻めを受ける俺の前に大石が割り込む
『か、彼は私が向こうでお世話になっている人で…そのた、大切な人なんです!…だからッあまり失礼な態度は…やめてくれませ…んか?』
そう言って真っ赤な顔をする大石に思わず俺自身も顔が熱くなるのを感じた
「大変失礼致しました結衣様!」
「そんな悲しい顔をなさらないで下さい!結衣様の大切な方は私達にとっても大切なお客様ですわっ」
言いながらメイド達は大石に抱きつきフワフワした空気を漂わせる
「…」
…どうやらこの家は親だけじゃなく執事からメイドまで大石を溺愛しているらしい。