第14章 想う分だけ想われる[沖田side]【帰省編②】
「は…な、んの事ですかィ?」
「知っていますよ、あなたが真選組の方だということ…勿論結衣様がそこで何をされているのかも…」
「…」
「…大丈夫です。ここで知っているのは旦那様と私だけですから…」
「…いつから気づいてたんですかィ」
「つい先程…。結衣様の手にいくつか切り傷のようなものがありましたので。…それに貴方のこともうっかり沖田隊長って呼んでましたし」
…あのバカ。
「以前結衣様が旦那様に真選組に入りたいと仰っていたのを耳にしましたけど…まさか本当になっていらしたとは…」
そう言ってお菊さんは複雑そうに微笑んだ
「やっぱりあいつの両親は今もあいつが真選組にいること…反対なんですかィ」
「ええ、そうですね。特に旦那様は…。でも私は良かったと思っているんです…。結衣様はいつからか、ここではあまり笑わなくなってしまっていたから…」
言いながらお菊さんは俯いた
「いつも部屋の窓から外を眺めていらして…その寂しそうな横顔を私達はただ黙って見ていることしか出来なかったんです」
「実を言うと、私を含むここのメイドや執事達の大半は皆結衣様に救われた者達ばかりなのです…。家が貧しかったり、生きる術を失くした者達に幼き日の結衣様が手を差し伸べて下さったのです」
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『え…お手伝い?』
「はいッ!私達は身分も低くお金になるモノは何一つ持っておりませんが…何かあなた様のお役に立ちたいのです!」
『え…でも』
「お願いします!どうか私達を雇っては下さいませんか」
『…わかりました。では代わりに1つお願いを聞いていただけませんか?』
「?」
『この先ずっと…何があっても私の友達であり、家族でいてくださると約束して下さい』
そう言って差し出された手の温もりは今でもよく覚えている。
「……はい」
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「…結衣様は…こんな私達とまるで本当の家族のように接して下さいました。あの日、私達は心身共々あの方に救われたのです」
「…」
「私達にとって結衣様は生きる希望なのです。…なのにそんな結衣様が悲しんでいる時に私は何一つ役に立つことが出来なかった…それが私は悔しくて仕方ないのです…」
お菊さんはそう言って拳をギュッと握り締めた