第14章 想う分だけ想われる[沖田side]【帰省編②】
「…ウチ(屯所)もある意味、枠に囚われたようなもんだけどねィ」
『そんなことないですよ。…真選組は私にとってもう一つの家族なんです』
「家族?」
『同じ時間、同じ場所で稽古をして仕事してご飯食べて寝て…たまに喧嘩も意地悪もしたりされたりするけれど、そこには同じくらい愛情もあって…私は何度あの場所に…皆に救われたかしれない』
『確かにこれから向かう先は不安です…。でも私…怖くはないんですよ…。真選組と…彼らと出逢えたから今の私がいる。自信を持って会いに行けるじゃないですか』
「…」
『それに…何たって沖田隊長がついてくれてますから!』
あぁ…
「…うざ」
『え、なんでですかっ!』
そうやって
何でもかんでも1人で乗り越えようとするから
色んなモン溜め込んじまうんじゃねェかって思うけど…。
『あ、もしかして照れてます?』
結局、この笑顔に俺は弱くて…
「…んなんで誰が照れるかィ」
そんな俺が何も言えなくなっちまうのを…コイツはきっとわかってる。
『あ、沖田隊長見てください!雪が降ってきましたよ!』
ほんと…ずりぃ奴でィ。
「…んなことよりお前ん家は一体いつになったら着くんでィ」
俺の言葉に大石は目をキョトンとさせて俺を見つめた
『えっと…もう着いてますけど』
「はぁ?」
言いながら窓の外を見るが、家らしき家は見当たらない
「どこがでィ、田んぼしかねェじゃねーか」
『あ、家はもう少し先なんです。ここはウチの敷地内で…所謂お庭です』
「…庭?」
『はい、けどあまりにも家から遠いんで父上がこの道専用の電車を作ったんです。…これが家から庭までを行き来するようになっているんですよ』
「…」
金持ちの考えは理解し兼ねる
「オイ…庭でこれなら家は城だ、なんて言うんじゃねーだろうなァ」
『え、いやまさか…そんなわけないじゃないですか!ただの一軒家ですよ…』
『30階建ての』
「これは一軒家とは言わねェ、高層ビルと言うんでィ」
そう言って電車から降り大石の指差す方を見上げていると玄関(多分)からスーツ姿の男が出て来た
「結衣様、おかえりなさいませ」
『…ご苦労様です』
言いながらその男に頭を下げる大石を見つめる
あー…帰りたくなってきた。