第14章 想う分だけ想われる[沖田side]【帰省編②】
電車に揺られ2、30分経った頃だろうか。
目を開け窓の外を見ると、そこは広大な田んぼが広がっていた
「…随分長閑な土地まで来たな」
『あ、起きましたか?おはようございます、沖田隊長』
不意に目の前に現れた大石の顔に俺はすぐ様目を逸らした
「何がおはようでィ…もう昼じゃねーか」
『あはは、確かに。けど朝早かったですし"おはよう"でも間違ってはないですよ』
そう言って笑う大石を見つめる
「…怖くねェのかよ」
『え?』
「今までずっと遠ざけてきた場所にまた戻ることになるんだ…本当は怖くて…辛ェんだろィ。なのに無理して笑ってんじゃねーや…」
俺の言葉に大石は一瞬だけ考える素振りを見せると窓の外を見つめ微笑んだ
『確かに…。けど遠ざけてたわけじゃないんです』
「…」
『両親はいつも私のことを想ってくれていました。小さい頃から大きな家に住んで食べる物も着る物も何不自由なく与えられ暮らしは充実していた…。でも、いつからか…』
- 父上…あの…-
- なんだ結衣、欲しい物ならお前の世話係の者に言いなさい-
-あ、そうじゃないんです。私…父上にお願いしたいことがあって…-
-ん?…言ってごらんなさい -
- あの…私外に出たいんです。…それでお友達と遊びたっ… -
- 結衣!外には出るなと言っているだろ!! -
-!?…でもっ -
- いいか!欲しい物があるなら世話係が何でも用意する、そんな外の得体の知れない者達とは関わるな!わかったら部屋に戻れ、今すぐだ! -
-ッ! -
どうして…
どうして私は外に出てはいけないの?
『いつからか…私は外に出ることすら許されなくなった。いつも広くて静かな部屋に一人きり…。私はこうして…窓越しに外で遊ぶ元気な子供たちを観ていることしか出来なかったんです』
私が本当に欲しかったのは…あの場所だったのに。
『私は自分の居場所が欲しかったんです…それは枠に囚われたものなんかじゃなく、もっと広くてこのどこまでも続く緑のように…自分が自分らしくいれる場所…ただ、それだけ』
「…」
大石の話を聞いて俺は同じように窓の外を見つめた