第13章 旅のお供には信頼出来る奴を置け【帰省編①】
『…お、きた…隊長?』
「やっと本音…言ったな」
『え?』
抱き締めたまま沖田隊長はゆっくりと話し始めた
「お前は…いつも笑ってらァ。ヘラヘラ馬鹿みたいに…』
『え…ば、ばか?』
「けど…そうやって笑ったあとのお前は…いつも悲しげで…」
(…いつもどこか寂しそうで…)
『…』
「…本当の顔はそっちなんじゃねェかって…思ったんでィ」
目を見開く私を離し、沖田隊長は真っ直ぐに私の目を見て言った
「行け…大石」
『え…でもッ』
「でも…じゃねェ。行きてーんだろィ?」
『…』
あぁ、どうして。
沖田隊長の言葉に黙って頷く
「オメェが母親に会いに行きてェ気持ちに嘘はねェ…だから俺も止めたりなんかしねェ」
沖田隊長はいつも
『沖田隊長…あ、ありがとうございます』
私が一番欲しい言葉をくれるのだろう。
「オイ…泣いたら意味ねェだろうが」
『うっ…すみません…嬉しくてッ』
「じゃあ何で泣くんでィ」
『違うんですッ!でも…何故か…うっ』
笑おうとしても
目からは涙が溢れ、止まらなかった
『ありがとう…ございますッ沖田隊長…』
「…」
沖田隊長は何も言わずに再度私を抱き締めた
きっと沖田隊長は…ずっと前から気づいてたんだ
私の弱さも…頑固さも。
あんなにいつも一緒にいたのに
こんなにも離れ難くなるのは何でかな…。
『沖田隊長…』
「…何でィ」
『いってきます…』
「…あぁ」
大丈夫、私はもう自分に嘘はつかない。
いつかちゃんと…胸を張ってまた彼らと会えるように。