第13章 旅のお供には信頼出来る奴を置け【帰省編①】
翌日早朝、まだ隊士が誰一人起きていない時間に私は荷物を持ち、そっと自室を後にした
屯所の外へ出ると門の前には近藤さんと土方さんの姿があった
『局長、副長…見送りに来てくださったんですか?』
「見送りじゃねェよ、たまたま早く起きただけだ」
言いながら煙草を噴かす土方さんの素直じゃない言葉に少し微笑む
「…やっぱり行くんだな…結衣」
近藤さんはそう言って少し眉を下げた
『はい…。隊士のみんなに黙って出て行くことを…どうか許してください』
会いたい気持ちはあるけれど、今彼らの顔を見たらきっとまた…私は泣いてしまう。
「そういや総悟の奴は見送りには来ねェのか…もう最後だってのに」
『いいんです、昨日も…まだ怪我が少し痛むようでしたし…』
「昨日…話したのか?…総悟と」
私の言葉に土方さんは目を丸くして言った
『はい。…全部は話せてないですけど、今の…私自身の気持ちだけは…ちゃんと伝えられたと思います』
「…」
『沖田隊長は…背中を押してくれました。だから私ももう迷いません…!』
「そうか…
じゃあ俺達も背中を押してやらねェといけねーな」
そう言って私の頭に手を置きながら近藤さんは微笑んだ
「気をつけてな結衣」
『…はい!お世話になりました』
二人にお辞儀をして私は真選組屯所を後にした