【ヒロアカ】暴走する、疾風と雷のジャンクフード【上鳴電気】
第3章 幸せな非日常が交差する
「個性がバイクか。不躾なことを言ってごめんね。それって例えばどんな感じのバイクなのかな?」
「イイコト聞いてくれたッスね、そりゃあハイセンスで轟いてるってカンジのバイク!しかもスピードは出せるしパワーもあるしでとにかく凄いんスよ!自分で自由自在に操作するコトも出来る!」
親譲りの乗り物系の個性だからか、つい自慢にも熱が入ってしまう。
それにしても初対面でも分かる、いかにも大人しそうな彼がヒーローになりたくて試験を受けに来るなんて、…いや、意外とこういう子にヒーロー願望があったりするのだろうか?
俺の殆ど個性自慢するだけの話を頷きながら聞いてくれた彼は、顔を俯かせるとぶつぶつと、しかしそれでいてしっかりと口角を上げたまま何かを語っていた。それが気になって思わず声をかけてみる。
「なるほど、つまり重量と馬力を有する上に高速移動する兵器みたいなものか…移動だけでなく攻撃にも転用することのできる、バランス系の強力な個性と判断すべきだね」
「出久ちゃん、いきなりどうかしたッスか?」
「出久ちゃん呼びなのか…あっ、いきなり語り出しちゃって迷惑だったかな?」
「いんやそんなコトはないッスよ、むしろ凄いッスよ!知識の塊ッスね出久ちゃん」
…意外というか何というか、出久ちゃんはどうやら個性にかなり執心しているらしい。その証拠に俺に迷惑をかけていないかを心配しつつも、その顔は知りたかったコトを知れてどこかスッキリしているように見え、
とりあえず俺に負い目を感じてないのなら、それはとっても嬉しいなって。だって、やっぱり優しい子には向日葵みたいな笑顔が似合うと思うッスからね!とカッコつけてみる。
「そういえばキミはしてくれたのに俺は自己紹介してなかったッスね、俺の名前は山都田颯!よろしくお願いしマンモス!」
「あはは、何だか勇ましい感じだよね…よろしくね、山都田くん。」
なにっ、引かれてしまっただと!?って内心焦っていたけれど、俺の自己紹介を聞きクスクスと口元に手を寄せ愛嬌のある笑みを浮かべる彼を見て、どうやらそうではないと知り安心した。