【ヒロアカ】暴走する、疾風と雷のジャンクフード【上鳴電気】
第4章 スタートの警鐘はいつも突然に
「乗り物を攻撃に転用するとは古典的な手段だが、やるじゃないか」
「私達ももっと頑張らなきゃね」
周りから俄に活気づいた声が聞こえる。
一度勢いづいてしまえば人間は簡単にハイになれるものだ。そんな調子で次々と仮想敵を打ち倒し、開始六分にして既に俺の持つポイントは40P
これは中々の好成績ではないか。
「この調子なら0Pの仮想敵だろうと倒せるかも…」
グッと拳に力を込めて口元に弧を描く。『ヴィラン死すべし慈悲はない』、これこそが俺の信条だ。躊躇は一切合切ない。デカブツがお出ましするのを待ちつつ俺は他の受験者によって端に追いやられていた仮想敵を順調に轢き回っていった。
モニター越しに教師達が試験の様子を見守り、その中で一人の教師が言葉を発する。
「今年はなかなか豊作じゃない?」
「いやー、まだわらかんよ。真価が問われるのは…これからさ!」
「そろそろお出ましッスかね…!!」
地響きと共に会場の地べたから砂埃を上げながら、そいつは姿を現した。明らかにハリボテみたく設置されていた今までの仮想敵とは格の違う、装甲の厚さにビッグなサイズ。コイツはブチのめし甲斐があるッスね…!
「というワケでアムロいっきまーす!さぁて、華麗に倒してみんなを惚れさせてやるッスよ!」
遠巻きからこちらを見ている受験者達からは恐らくあの仮想敵に向かって全速力で走っていく俺の姿はさぞ異質に見えている事だろう。それでいい、俺は形振り構わず仮想敵を倒すことから地道に創めるのだから。
「それじゃあ早速…って、」
先ほどのテンプレートをなぞりバイクを急発進させて仮想敵に突っ込んでいこうとしたその瞬間、
自らが壊してやろうと目論んでいた仮想敵の唸る豪腕に吹っ飛ばされた。
「…ど、どうしてッスか?!最大限に周りは見張っていた筈なのに隙を突かれ…」
重力に誘われるまま地面にへと激突する。バゴッと激しい音が鳴り響き、骨がミシミシ言う音が聴こえ…
「い゛ッ、でえ゛え゛ッッ゛!」
尋常でない全身の痛みに襲われ、骨が何本かイってしまったのか脳が身体を動かすことを拒否している。
「い゛だいい゛だいッッ!…嗚呼、急がないとアイツが…!」
それでも、身体を無理矢理動かして起き上がろうとして、…駆け寄ってきた真面目ちゃんに取り押さえられた。