第3章 謎解きって無駄話みたいだと思う。
パーティーを組むメンバーは皆それぞれの役割を持ってダンジョンに潜っている。役割に応じて何かにつけての対応もまた違う。何かあったらチルチャックは逃げるのが仕事とも言えるし、私だったら皆を補助しつつ守るのが仕事だ。罠があったら解くのがチルチャック、危険がないよう下がって見守るのが私、それと同じ。なのにわざわざしつこく何度もこういう念を押される辺り、やっぱりどうにも子ども扱いされているんだなと痛感してしまう。
パーティーのルールはちゃんとわかってここにいるのよ、私だって。
チルチャックに限らず、このパーティーの仲間はそうやって折に触れて私を特別扱いしようとする。それはこのパーティーのメンバーが稚い(笑)子供を気遣える全うで心根の真っ直ぐな人たちの集まりだっていうことの証左だ。だからこそ私はトーデン兄妹のパーティーが好きだし、出来れば正式なメンバーになりたいとも思うのだけれど、正直鬱陶しいと思わないでいられない。
ここは地上じゃないのよね。
ダンジョンなのよ。
人には慮外な不条理の世界なんだからさ。私たちの理とは別の摂理で成り立ってるテリトリー外の場所で、日頃の常識を持ち出したってそんなの通用する筈もない。そういうのはちょっと横に置いといた方がいい。
危険は承知で潜ってるんだし、私だってあなたたち同様お金を貰って仕事をしてるんだから、そこらへんちゃんと割り切って頂きたい。
…なんて言っても聞かないんでしょ!?
聞かないのよね!
わかるわ。
私が逆の立場ならやっぱり聞かないもんね。
でも私はあなたたちほど甘くはなれないかなと思うの。
ダンジョンへ潜るパーティーはもっともろに誰が敵だか味方だかわかんないようなとこが多いし、もっと言ったら魔物よかパーティーメンバーの方が危なくて怖いとこだって珍しくない。この人たちはその中で異彩を放っている。異様と言ってもいいくらい…いや、言い過ぎかな。異質くらいにしとこう。
主宰のライオスとファリンの人柄が人柄だからこそ成り立ってるのかも知れないけど、ホンットもう浮世離れしてるっていうか、人が好すぎるっていうか、でもだから好きなのよ!トーデンパーティー!腹立つわ!
いや、シビアはシビアよ、この人たちも。けど、よそに較べたら甘い!そんで弛い!そのくせ結構な実力派だし、ホント変なパーティーだ。変だけど正直憧れる。私もこの輪の中に入れたらな。