第4章 後援が助けになるとは限らない。
ゴーレムが三体。
絶望的に困難な数ではないが、楽して倒せる数でもない。
あっちにこっちに倒れ込んだ土塊みたいな…いや、元が土塊だからみたい、ではなくそのものの、ゴーレムの抜け殻を見渡して、四つの人影が脱力の息を吐く。
トーデンパーティーのメンバーだ。
パーティーを主宰するトールマンのライオス、魔術師のエルフマルシル、斧使いのドワーフナマリ、東方の剣士でライオスと同じくトールマンのシュロー。ライオスの妹で魔術師のファリンは流感で寝込んでいる為、ここにはいない。
「思ったよりかかったな」
「三体もいればかかるに決まっている。だから囮を立ててすり抜けようと言ったんだ」
「囮がしくじって死んじまっても困る」
「遺体を探して生き返らせる手間がかかるから」
「もっと慎重に計画を練って取り組むべきだった?」
「だった?って今更聞かれても知るか。時間かけるような仕事でもねえし」
「兎に角倒すことは倒せたんだからよしとしなきゃ」
「チルチャックとアニウの方はどうだろう。上手くやってるかな」
「アニウはまだ子供だ。チルチャックと二人では荷が勝ち過ぎる」
「まーた始まったよ。何なんだお前は。アニウの保護者か?アイツだってあれでダンジョンで稼いでんだぞ。侮るなよ」
「アニウはまだ子供だ」
「くどい。自分の食い扶持稼いで生きてんだ。子ども扱いされる謂れはないぞ」
「しかしアニウはすぐ怪我をするし」
「それはまた別の話だろ。アイツの場合大人になったって怪我が絶えないだろうことは目に見えてるしなぁ」
「鈍くさいとこあるからね、アニウは」
全員がマルシルを見た。当惑した目にどうにも呆れた目、きょとんとした目にじっと見られて、マルシルは怯んだ。
「な、何?」
「アニウが鈍くさいったってお前ほどじゃない」
呆れ顔のナマリが言えば、シュローが曖昧な表情を浮かべて明後日の方を向く。
「そんなに心配することないだろう。チルチャックがついてるんだ」
ライオスが能天気に言って、イタタと後頭部を撫でた。戦闘の際派手に転んで打ったところが痛むらしい。