第3章 謎解きって無駄話みたいだと思う。
「大丈夫ですよ」
「安請け合いすんな。反って不安になるだろ。ゴーレムが一体ならシュローにこっちに来て貰えたろうに、面倒くせえなおい」
「シュロー?何でシュロー?」
いきなり飛び出た生真面目なメンバーの名前にきょとんとすると、チルチャックは半眼でじろりとこっちを見た。
「お前の世話係はシュローだろ」
「はあ?」
口が開いて塞がらなくなる。文字通り、口が塞がらないというヤツだ。
「あれ?ちょ…ちょっとチルチャックさん…?一体何を言い出される…」
「シュローのいうことなら大人しくきくじゃないか」
待て待て待て。それは違う。全然違う。
もしそう見えるのだとすれば、それはシュローが口うるさいからだ。やいやい言われるのが面倒だから刺激しないようにしているだけで、素直に言うことを聞いてる訳じゃない。断じてない。
東方の島のいいところの坊ちゃんらしいシュローは生真面目で口うるさく、私を徹底的に子ども扱いして牽制してくる煙たい相手だ。ファリンが好きなくせに良識に逆らえず、私がパーティーに加わると何かと構いつけてきてはファリンの反応を気にして落ち込み、挙句八つ当たりみたいに私へ厳しくして来るので手に負えない。ファリンから小児性愛の気があると思われたくないのだろう。だったら私に構うのを止めればいいものを、何をどうしたいのだ、あいつは。
そういうシュローの奮闘は傍目に馬鹿馬鹿しい限りだが、真面目過ぎる性根故の融通の利かなさとわかっているから強く出れない。こっちとしても後ろ暗いところが無きにしも非ずだけに、シュローと関わるのはちょっとしんどい。結構しんどい。だから刺激しないように大人しくしている。本当にそれだけの話なのだ。
「いいか、何度も言うようだけど、俺の助けはあてにするなよ。俺はそっち方面は完全に畑違いなんだからな」
言っちゃなんですけど、元々あてになんかしてませんから安心して下さいよ。